【人気車ヒットの理由】ツーリングの人気と旧型の法人需要でランキング上位に!「トヨタ カローラ」

ジャンルを問わず「人気商品」には、人気を博すだけの理由=良いところが必ずあるものです。そしてそれは車においても同様で、大ヒットしている車にはほぼ必ず、ヒットするだけの理由=美点があります。

このコーナーでは「今、かなり売れてる車」をピックアップし、その売れてる理由を明らかにしてまいります。

第5回となる今回は、今年上半期(1~6月)の累計販売台数ランキング4位であり、8月単月でも第5位に入っている「トヨタ カローラ」です。

現在のラインナップは3種類の新型と2種類の旧型

まずはトヨタ カローラという車についての簡単なおさらいから。

ご存じのようにトヨタ カローラは1966年にその初代モデルが登場し、1990年頃までは「ニッポンの国民車」と言えるほど親しまれていた5ナンバーサイズのセダン。また日本だけでなく世界規模で見ても、ギネス記録を樹立するほどの累計販売台数を記録しているシリーズです。

現在は2018年にデビューした12代目のカローラシリーズが新車として販売されていると同時に、11代目カローラシリーズの一部モデルも継続販売されています。今現在、新車として販売されているカローラシリーズの一覧は下記のとおりです。

【セダン】
●カローラ
2019年9月に発売された12代目のカローラセダン。パワーユニットは1.8Lガソリン自然吸気ガソリンエンジンと1.2Lガソリンターボエンジン、1.8Lガソリンエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドの3種類。

こちらが2019年発売の12代目カローラ セダン。

●カローラ アクシオ
先代(11代目)のカローラセダンで、新型の登場後も継続販売。パワーユニットは1.5Lガソリン自然吸気エンジンとハイブリッド。

【ハッチバック】
●カローラ スポーツ
現行12代目カローラシリーズのなかではいち早く2018年6月に発売となった5ドアハッチバック。パワーユニットは1.2Lガソリンターボエンジンと、1.8Lガソリンエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド。

12代目カローラのハッチバック版であるカローラ スポーツ。

【ステーションワゴン】
●カローラ ツーリング
現行12代目カローラシリーズのステーションワゴンとして2019年9月に登場。パワーユニットは12代目セダンと同じ1.8Lガソリン自然吸気ガソリンエンジンと1.2Lガソリンターボエンジン、1.8Lガソリンエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドの3種類。

12代目カローラのステーションワゴン版、カローラ ツーリング。

●カローラ フィールダー
先代のステーションワゴンが継続販売されているもの。パワーユニットは、同じく継続販売されているカローラ アクシオと同一の1.5Lガソリン自然吸気エンジンとハイブリッド。

「カローラの販売台数=カローラ セダンの販売台数」ではない

カローラシリーズが販売台数ランキングのかなり上位に入っている理由のひとつは、「シリーズ全体の数字が合算されているから」です。

「カローラ」というと自動的にセダンモデルが連想されるかもしれませんが、実際の数字(販売台数)は現行型のセダンとハッチバック、ステーションワゴンの販売台数が合算され、さらには継続販売されている先代モデル(カローラ アクシオとカローラ フィールダー)、さらには教習所で使われている「カローラの教習車」の販売台数も合算されています。

こういった集計方法であるからこそ、「カローラ」はランキング上位に入っているのです。ちなみに、現在の販売台数ランキング1位であるトヨタ ヤリスも通常のヤリスだけでなく、クロスオーバーSUVである「ヤリス クロス」を含んだ数字で集計されています。

人気の「カローラ ツーリング」が販売をけん引

現行世代3モデル(セダンとハッチバック、ステーションワゴン)と、旧世代の2モデル(アクシオとフィールダー)が併売されているトヨタ カローラですが(あと教習車も併売されてますが)、そのなかでも一番売れているのは現行型ステーションワゴンの「カローラ ツーリング」です。

2019年9月に新型カローラおよびカローラ ツーリングが発売されると、合わせて1万9000台以上の注文が殺到したわけですが、そのうち1万3700台、つまり約7割はステーションワゴンのツーリングだったのです。直近でもカローラシリーズの販売比率は、

●現行ツーリング|約45%
●現行スポーツ|約16%
●先代フィールダー|約15%
●現行セダン|約12%
●先代アクシオ|約11%

という具合になっています。

現行型のカローラ ツーリングがよく売れている理由は、おおむね下記のとおりであると推察できます。

●「GA-C」という新世代のプラットフォームがもたらす走行性能の高さとフィーリングの良さ。

●内外装デザインの良さ。特に外観フォルムはどことなく欧州車的で、ハイセンスな塊感があります。

●「程よいサイズのステーションワゴンである」という希少性。現行世代のカローラシリーズは3ナンバーサイズになりましたが、それでも、その他のステーションワゴンと比べれば「程よい」といえる範囲のサイズ感を逸脱していません。

●価格的に手頃。具体的には、同形状(ステーションワゴン)であるスバル レヴォーグよりおおむね100万円以上は安い値付けになっています。

●トヨタならではの「信頼感の高さ」がある(壊れにくそう。対応がちゃんとしてそう。販売店の数が多い=自宅から近いetc.)。

これだけの条件がそろえば売れるのは必然であり、実際、カローラ ツーリングは誰にでもおすすめできる「いい車」です。

なかなかシックなイメージとなるカローラ ツーリングの車内。写真のグレードはHYBRID W×B(2WD)

継続販売中の旧型は5ナンバーゆえ今なお法人に人気

前項で「現行世代のカローラシリーズは3ナンバーサイズになったが、それでも、その他のステーションワゴンと比べれば『程よい』サイズである」との旨を述べました。

しかし、それでも「5ナンバーサイズであること」にこだわりたいユーザーというのは一部にいるものです。特に都市部のビルにオフィスを構えている法人系のユーザーは、昔の規格の機械式駐車場(全幅1750mm以下、全長4700mm以下という規格)に社用車を保管している場合が多いようです。

そういった需要が確実にあるため、トヨタは5ナンバーサイズの旧型カローラ アクシオとカローラ フィールダーを今も継続販売していて、実際それらが法人ユーザーによく売れているのです。

こちらが1世代前のカローラ セダンである「カローラ アクシオ」。

「ちょうどいい道具」として、その人気はまだまだ続きそう

以上のとおりカローラシリーズは、

・現行世代は走りが良い
・現行世代は見た目も良い
・それでいて価格も手頃である
・ステーションワゴンのカローラツーリングは特に使い勝手が良い
・法人には旧型のカローラ アクシオとカローラ フィールダーもよく売れている

ということで、販売ランキングの上位に居続けているのです。

今後、設計自体が古い旧型5ナンバー車がこのまま売れ続けるかどうかは未知数ですし、肝心の現行型セダンがさほど売れているとは言い難いのも気がかりではあります。

しかしそれでも、ステーションワゴンを中心とする現行世代のカローラシリーズは、人々にとっての「ちょうどいい道具」であり続けることでしょう。

執筆者
伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
  • <記事掲載日>2021年10月11日
  • <更新日>2021年10月11日

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