【同クラス人気車対決】「トヨタ ハイエース vs 日産 キャラバン」おおむねそっくりだけど、結局どっちが優秀な働くクルマか?編

日本における商用バンの二大巨頭といえるのがトヨタ ハイエースと日産 キャラバンです。とはいえ、姿形はよく似ている両者であるものの、街でしょっちゅう見かけるのはハイエースで、キャラバンのほうはあまり見かけないような気もします。

この2モデルは何がどう違い(またはどう同じで)、そしてもしも自分が乗るとしたら“どっち”を選ぶのが正解なのでしょうか? さまざまな観点から、両者を比較してみることにしましょう。

【ラウンド1:どっちが売れている?】正確な数は不明だが、やはりハイエースのほうが断然売れている

まずは「今、実際どちらが売れているのか?」というデータを見てみましょう。

……とはいえどちらも商用バンが中心であるため、正確なところは今ひとつわからないのが現実です(商用車の販売台数は公表されないのです)。

しかし確認したところによれば――やや古いデータにはなりますが――2019年の販売台数はトヨタ ハイエースが約6万8000台で、日産 キャラバン(当時の車名はNV350キャラバン)は約2万台だったとのこと。

必ずしも「売れてる車のほうがいい車である」とは言いきれませんが、「どっちが売れている?」と問われたならば、答えは「トヨタ ハイエースのほうが3倍ぐらい売れている」ということになりそうです。

【ラウンド2:どっちの使い勝手が良い?】結論としてはほぼ互角。モデルの違いより「仕様の違い」による差のほうが大きい

ひと口に「ハイエース」または「キャラバン」といっても、それぞれに何種類かのボディバリエーションが用意されていて、またパワートレインの種類も多岐にわたっています。ということで、まずはそれぞれのグレード構成をざっと整理してみましょう。

まずトヨタ ハイエースは、「ハイエース バン」という商用車と「ハイエース ワゴン」という乗用車にそもそも分かれています。そしてそのそれぞれが、さらに下記のように細かく枝分かれしていきます。

●ボディ長:「ロング」「スーパーロング」
●ボディ幅:「標準」「ワイド」
●ルーフ形状:「標準ルーフ」「ミドルルーフ」「ハイルーフ」
●フロア形状:「標準」「ジャストロー」

このほかにも、グレードによって乗車定員が違ったり、ドアの数が微妙に違ったりもします。これらをすべて合わせると、果たしてトヨタ ハイエースの選択肢は何通りになるのかは……あまりにも大変なので計算しませんが、とにかく「一概には言えないほど、いろいろな種類のハイエースがある」ということだけ、ここでは申し上げておきます。

ルーフの高さやボディの長さなど、多種多様なタイプが用意されているトヨタ ハイエース

一方の日産キャラバンも乗用車である「ワゴン」と商用車の「バン」「マイクロバス」に分かれていて、「ロングボディ」と「スーパーロングボディ」、「標準ルーフ」と「ハイルーフ」等々、トヨタ ハイエースと同様のさまざまな選択肢に分かれています。

写真は日産 キャラバンの標準ルーフ。

そのため「どっちの使い勝手が良い?」という問いに答えるのはあまりにも困難なのですが、強いて言うのであれば、

●使い勝手はどちらもだいたい同じぐらい良好である。
●自分の使用目的にあった選択肢の幅も、両者ともかなり広い
●ただしトヨタ ハイエースのほうが「より選択肢の幅が広い」とは言える

ということになります。

微妙な差異はあるとしても、両者の使い勝手はおおむね同等レベルで良好。写真は日産 キャラバン トランスポーター プレミアムGX

【ラウンド3:走行性能と燃費は?】以前はハイエースが一枚上だったが、マイナーチェンジでキャラバンが肉薄

お次は「走行性能」です。

ただしここについてもハイエースとキャラバンはパワートレインの選択肢があまりにも多いため「一概には言えない!」というのが結論になってしまいます。

現在、トヨタ ハイエースに用意されているパワートユニットは2.8Lディーゼルターボエンジンと、2Lまたは2.7Lガソリンエンジンの3種類。それぞれにFRと4WDという2種類の駆動方式があり、トランスミッションは6速ATが基本ですが、2LガソリンのFR車だけは5MTを選ぶことができます。

一方の日産 キャラバンは2021年10月にガソリン車のマイナーチェンジを実施。このタイミングで車名が「NV350キャラバン」から「キャラバン」に戻り、2Lまたは2.5Lガソリンエンジンに組み合わされるトランスミッションは全車7速ATに多段化されました。またこのとき、従来型にはあった5MTが廃止されています。

さらに2022年2月にはディーゼル車のマイナーチェンジも行われ、三菱製となる最新の2.4Lディーゼルターボエンジンがバン(商用車)にだけ搭載されました。

日産 キャラバンの直近のマイナーチェンジで採用された新型ディーゼルエンジン。排気性能とCO2低減を高次元で両立。多段化した7速トランスミッションの採用もあって、燃費性能は12.4km/Lから13.9km/L(JC08モード)に向上している

以上を踏まえたうえで両者の走行性能を比較してみますと、これまた「おおむね互角」というほかないのが正直なところです。

以前は「なんだかんだでトヨタ ハイエースのほうが走りが良くて、静粛性も高い」という評価が一般的でした。しかしキャラバンのガソリン車は2021年10月のマイナーチェンジで乗り心地と静粛性がかなり向上し、燃費もハイエースに肉薄する数値まで向上。そして2022年3月には新世代のディーゼルターボエンジンも採用されたということで、それまでは正直、ハイエースに一歩劣る部分もあったキャラバンの走りは、「王者ハイエースと大差ない」といえるものに変化したのです。

【ラウンド4:どっちが】この点についてもマイナーチェンジで日産 キャラバンが猛追

先進安全装備(運転支援システム)は、両者とも充実しています。

従来型の日産キャラバンにも衝突被害軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)は付いていましたが、レーダーのみの旧式タイプであったため歩行者の検知はできず、停止車両に対してのみ有効なものでした。

しかし今回のマイナーチェンジで、ミリ波レーダーとフロントカメラを使った「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」を全車に標準で装備。またグレードによっては、たくさんの荷物を積んだ場合でも後方視界を確保できる「インテリジェント ルームミラー」も採用されています。

日産 キャラバンはマイナーチェンジで運転支援システムのレベルが大幅に向上。写真は「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY 全方位運転支援システム」のイメージ


一方のトヨタ ハイエースも、ミリ波レーダーと単眼カメラを使って歩行者も検知できる衝突被害軽減ブレーキを含む「Toyota Safety Sense」を全車に標準装備。そしてオプションとして「パノラミックビューモニター」と「インテリジェントクリアランスソナー」を装着することができます。

安全性能も走行性能と同様、以前は「日産 キャラバンのほうが一歩遅れている」と言えた部分でしたが、直近のマイナーチェンジによって「両者の安全性能はおおむね同レベルになった」と言うことができるでしょう。

【ラウンド5:どっちがお得?】キャラバンのほうがほんの少し高いが、大局的には「おおむね同等」

ある意味いちばん気になる「価格」は、同カテゴリー同士で比べると下記のとおりとなります。

【乗用ワゴン】
●トヨタ ハイエース ワゴン|287万5000~401万500円
●日産 キャラバン ワゴン|309万5400~409万7500円

【商用バン】
●トヨタ ハイエース バン|236万3500~368万5100円
●日産 キャラバン バン|241万2300~427万5700円

【マイクロバス】
●日産 キャラバン マイクロバス|375万4300円

上記の数字から「日産 キャラバンのほうが少しだけ高いが、両者の車両価格はおおむね同等」と見ることはできます。

しかし前述したとおりトヨタ ハイエースと日産 キャラバンのグレードは星の数ほどの(?)多岐にわたっているため、モデル全体の数字を比べてみてもあまり意味はないかもしれません。
そのため両者の「ガソリンエンジンを搭載する乗用ワゴン」同士で、オリックスカーリース・オンラインにおける月額リース料を比較してみましょう。

【いまのりイレブンの場合】
●トヨタ ハイエース ワゴン GL 2WD|4万4000円/月
●日産 キャラバン ワゴンGX 2WD|4万7630円/月

上記はカーナビやETCなどのオプション装備は付けない場合の金額ですが、とにかくカーリースを利用する場合においても、「日産 キャラバンのほうが少しだけ高いが、両者の価格はおおむね同等」と言うことができそうです。

【判定】リセール価格で選ぶならトヨタ ハイエース。ただしハイエースはモデルチェンジが近い

以上の検討から判明した事実は、おおむね下記のとおりであると言っていいでしょう。

●使い勝手と走行性能、安全性能は、以前はトヨタ ハイエースのほうがやや上だった。
●だが2021年10月と2022年2月に行われた日産 キャラバンのマイナーチェンジにより、上記の諸性能はほぼ同等レベルになった。
●価格は、日産 キャラバンのほうがほんの少々高めではあるが、俯瞰して見るならば「だいたい同じぐらい」と言える。

となると、結論としては「どちらを選ぶもあなたのお好み次第」ということになります。

とはいえ注意点もいくつかあります。

まずトヨタ ハイエースは、来年(2023年)にフルモデルチェンジが行われる可能性があります。そうなると、現行型は「入手してから割とすぐに型遅れになる」というリスクがあります。型遅れになることについての感じ方は人それぞれでしょうが、もしもハイエースを選ぶのであれば、割と早々にモデルチェンジが行われるかもしれないと覚悟しておく必要はあります。

また日産 キャラバンはマイナーチェンジによってハイエースに匹敵するほどの実力を手に入れましたが、それでも「リセール価格」は、トヨタ ハイエースのほうがずいぶん高いというのが現実です。

そのため、長期にわたって乗るのではなく「比較的短期間で乗り替えたい」と考えている場合には、よりリセール相場が高いトヨタ ハイエースを選んだほうが有利でしょう。

以上、ご参考になったならば幸いです。

執筆者
伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
  • <記事掲載日>2022年6月10日
  • <更新日>2022年6月10日

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