【人気車ヒットの理由】ビジネスから週末のアウトドア、車中泊まで使い倒せる! 「ホンダN-VAN」

この記事には「N-VAN」「N-VAN +STYLE FUN」についての内容が含まれます。

ジャンルを問わず「人気商品」には、人気を博すだけの理由=良いところが必ずあるものです。そしてそれは車においても同様で、大ヒットしている車には必ずと言っていいほど、ヒットするだけの理由=美点があります。

このコーナーでは「今、かなり売れてる車」をピックアップし、その売れてる理由を明らかにしてまいります。

第11回となる今回は、配送などのプロフェッショナルだけでなく車中泊愛好家やキャンパーなどからも高く支持されている軽商用バン、「ホンダ N-VAN」の魅力に迫ります。

N-BOXと基本部分を共用する軽商用バン

ホンダ N-VANは、ホンダの軽自動車「Nシリーズ」の6車種目として登場した、シリーズ初の商用車。一般的な軽商用バンはエンジンを運転席の下に配置して後輪を駆動させますが、N-VANは軽乗用車ナンバーワンの売れ行きを誇る「N-BOX」と基本部分を共用していますのでFFレイアウト、つまりエンジンが運転席前方のボンネット内にあって、それが前輪を駆動させるという、一般的な乗用車と同じ駆動方式です。

ボディタイプは、当初は標準ルーフ仕様もありましたが、現在はハイルーフ仕様のみを設定。ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1945mmです。

デザインキャラクターは大きく3つに分かれていて、スタンダードな仕様が「G」および「L」で、丸目のフルLEDライトを備えた愛嬌のあるフロントマスクを採用しているのが「+STYLE FUN」です。当初はボクシーなスタイルにメッキグリルやリアスポイラーなどを備えた標準ルーフの「+STYLE COOL」もラインナップされていましたが、2021年2月のマイナーチェンジ時に廃番となりました。

こちらがホンダ N-BOX +STYLE FUN

こちらは「L」のリアビュー

「センターピラーレス構造」でサイドにも大きな開口部が

乗車定員は4人ですが、室内空間は運転席とラゲッジスペースの使い勝手を最優先としたもの。運転席は長距離運転でも疲れにくいタイプのシートですが、その他のシートは、快適性を犠牲にする代わりに、完全にフラット化できる「ダイブダウン機能」を備えたシンプルな構造です。

N-VANはその割り切りによって広大なカーゴスペースが実現していて、運転席以外のすべてのシートを格納すると現れる大空間は、前身である「アクティ バン」以上の量の荷物を積載することが可能。助手席を格納した状態であれば、最長2635mmの長尺物を収めることもできます。

さらにN-VANは助手席側を「センターピラーレス構造」としたことで、ボディサイドにはテールゲートよりも大きな開口部が設けられている点も大きな特徴となります。

「+STYLE FUN」の運転席まわり

ダイブダウン構造により、運転席以外のシートをたためば完全にフラットで広大な荷室空間が現れる

センターピラーをスライドドア内に入れ込むことで、ボディサイドにもかなり大きな開口部が生まれている

プラットフォームは、乗用車である現行型N-BOXから採用している「Nシリーズの新世代タイプ」を商用車向けに改良したもの。そしてメインとなる自然吸気エンジンは、現行型N-BOX用の高効率エンジンを商用ユースに最適化したもので、最高出力は53ps。WLTCモード燃費19.2km/L(FF・CVT車)です。

乗用車的なビジュアルを持つ+STYLE FUNのみに設定されるターボエンジンは高出力64psと強力で、WLTCモード燃費は18.8km/L(FF・CVT車)。トランスミッションは、金属ベルトを強化するなどして商用車向けに最適化したCVTのほか、自然吸気エンジンには6速MTも設定。駆動方式は全グレードにFFと4WDが用意されています。

商用バンでありながら先進安全機能が充実しているのもN-VANの特徴で、全車に安全運転支援システム「ホンダセンシング」を標準装備。衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制機能、歩行者事故低減ステアリング、アダプティブクルーズコントロール、車線維持支援システムといった、乗用車と同等の機能が備わっています。また便利なオートエアコンを全車に標準装備としたほか、+STYLEシリーズにはスマートキーシステムやラジオ付きUSBオーディオを採用するなど、快適装備も軽乗用車に近いものとなっています。

荷室長の短さは「背の高さ」と「床面の低さ」でカバー

以上のような形で2018年7月にデビューしたホンダ N-VANは、発売から1カ月で月間目標台数の3000台を大きく超える1万4000台以上を受注し、全国軽自動車協会連合会によれば2021年上半期も1万5102台という堅調な販売台数をキープしています。

ライバルであるダイハツ ハイゼット カーゴやスズキ エブリイは、エンジンを前席の下に置く「キャブオーバー」というレイアウトを採用しているため、荷室長を長くとることができます。しかしホンダ N-VANは軽乗用車であるN-BOXがベースですのでエンジンは車のフロント部分にあり、その分だけ運転席の位置が後ろになる関係で、荷室長はどうしても(ライバルと比べれば)短めになってしまいます。具体的には、スズキ エブリイの荷室長が1820mmであるのに対し、N-VANのそれは1510mmでしかありません。

しかしホンダ N-VANは「工夫」によって、この不利な条件をある程度跳ね返してしているのです。

車中泊愛好家たちからもホンダ N-VANは高い評価を得ている

N-VANはエンジンがフロントにあるがゆえに荷室長は短くなりますが、前席の下にエンジンを搭載して後輪を駆動するエブリイバンやハイゼットカーゴに比べると、床の位置を100mm以上低くすることができます。そこに、ハイゼットカーゴやエブリイの荷室高さを12cm以上上回る「背の高い荷室」を組み合わせることで、ライバルと比べて長さ以外は遜色ない荷室空間を実現させたのです。

また荷室床面の低さは「荷物の積み下ろしのしやすさ」にも直結しますし、さらにN-VANは前述のとおりボディ左側のセンターピラーがありませんので、ボディサイドとリアゲートの両方を使って荷物を容易に出し入れできるというストロングポイントがあります。

ソロキャンプや一人旅のお供にはうってつけの一台

このほか、ホンダ N-VANがヒットしている大きな理由のひとつは「商用車ではあるが、乗用車的な感覚で使うことができる」ということでしょう。

完全に商用ユース向けのグレードである「G」と「L」は別ですが、レジャーユースにも向いている「+STYLE FUN」は見てのとおりのしゃれたデザインで、ターボ付きエンジン搭載グレードであれば動力性能も十分以上。そして「商用車だから遮音材をケチっている」ということもいっさいなく、走行中も車内は想像以上に静かです。もちろん乗り心地は乗用車であるN-BOXには劣りますし、運転席以外のシートも前述のとおりかなり割り切った作りです。

しかし、例えば1人で気ままにソロキャンプに行ったり、車中泊前提で旅に出たり、あるいはオートバイや釣り道具などを満載して出かけるのであれば、N-BOXと同水準の先進安全機能が付いている点を含め、ホンダ N-VANはライバル各車と同等またはそれ以上に「使える車」であり、そしてもしも「おしゃれか否か?」という点で考えるなら、これはもう圧倒的にライバルを上回っています。

長いモノを積む機会が多いプロフェッショナルの方々には、それでも、荷室長が長いダイハツ ハイゼット カーゴやスズキ エブリイのほうが向いているのかもしれません。

しかし我々アマチュアがレジャーを中心に使うのであれば、ホンダ N-VANはまさに「うってつけな一台」だと言えます。このあたりが、ホンダ N-VANという軽商用バンの根本的な「ヒットの理由」なのでしょう。

執筆者
伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
  • <記事掲載日>2022年7月21日
  • <更新日>2022年7月21日

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