【人気車ヒットの理由】圧倒的な燃費性能と活発な走りで市場を席巻!「トヨタ ヤリス」

ジャンルを問わず「人気商品」には、人気を博すだけの理由=良いところが必ずあるものです。そしてそれは「車」においても同様で、大ヒットしている車にはほぼ必ず、ヒットするだけの理由=美点があります。

このコーナーでは「今、かなり売れてる車」1車種をピックアップし、その「売れてる理由」を明らかにしてまいります。

第3回となる今回は、昨年7月から今年6月まで、なんと12カ月連続で乗用車の月間販売台数ナンバーワンであり続けているコンパクトカー「トヨタ ヤリス」です。

パワーユニットはハイブリッドと2種類のガソリンエンジン

パワーユニットはハイブリッドと2種類のガソリンエンジン

まずはトヨタ ヤリスという車についての簡単なおさらいから。

トヨタ ヤリスは、2020年2月に発売されたトヨタのコンパクトカー。それまでは「ヴィッツ」という車名で販売されていたモデルの4代目ですが、2020年2月のフルモデルチェンジをきっかけに、グローバルでの車名であった「ヤリス」に改められました。

車台は「GA-B」という最新世代のよくできたもので、ボディサイズは全長3940mm×全幅1695mm×全高1500mm(※4WDは1515mm)。躍動感のあるボディデザインと、モノトーン11色とツートーンが4色用意される豊富なホディカラーも特徴となります。

パワーユニット(動力源)は全部で3種類。ひとつは新開発された1.5Lの直3ガソリンエンジンで、もうひとつは、この1.5Lエンジンをほんの少々変えたうえで電気モーターを加えたハイブリッドです。この2種類がヤリスのメインパワーユニットですが、このほかに、レンタカーなどの法人利用を想定した低出力の1L3気筒ガソリンエンジンも用意されています。

安全装備は、予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」が、前述した1Lエンジンの「Bパッケージ」という最廉価グレード以外は標準装備で、トヨタのコンパクトカーとして初めて「レーダークルーズコントロール」と「レーントレーシングアシスト」も、1Lモデルを除いて標準装備となっています。

で、トヨタ ヤリスが12カ月連続で月間販売台数ナンバーワンであり続けている理由は何なのでしょうか?

といってもヤリスの販売台数の数字には、2020年8月に発売となったコンパクトクロスオーバーSUV「ヤリス クロス」の台数と、同年9月に販売開始となったスポーツモデル「GRヤリス」の台数も含まれています。この2モデルの分の数字を差し引くと、最近の月間販売台数ナンバーワンは「トヨタ ルーミー」という小型トールワゴンになるのですが、そうだとしても、トヨタ ヤリスがバカ売れし続けていることに変わりはありません。

ハイブリッド車の燃費は「驚異的」といえるほど良好

ハイブリッド車の燃費は「驚異的」といえるほど良好

ヤリスという車がこんなにも売れる大きな理由のひとつは「燃費」です。特にハイブリッド車の燃費は、「驚くほど」という形容がハマるぐらい良好なのです。具体的な数字は下記のとおりです。

【WLTCモード燃費(2WD車)】
ヤリス ハイブリッド|35.4~36.0km/L
ヤリス 1.5Lガソリン|19.6~21.6km/L

1.5Lガソリン車の19.6~21.6km/Lというのは「クラス標準」と言えなくもない数字ですが、ハイブリッド車の35.4~36.0km/Lというのは本当に驚異的な数字です。2018年10月以降の新車には表示が義務化されている「WLTCモード燃費」というのは、それまでのJC08モード燃費よりも「実際の走行時の数字に近い」といえるもので、そのモードで35km/L以上の燃費をマークするというのは相当なモノです。

さらにヤリス ハイブリッドはWLTCモード燃費以上に「実燃費」が良好だったりもします。

走り方やドライバーのスキルによっても変わるので断言はできないのですが、普通に走っても40km/L以上の燃費をマークしたりすることもあるのが、ヤリス ハイブリッドという車なのです。環境意識や節約に関する意識が高まっている今、これだけの燃費をマークする車が「売れない」ということのほうが、ちょっとあり得ない事態でしょう。

燃費だけでなく「走り」もクラストップレベル!

燃費だけでなく「走り」もクラストップレベル!

そしてトヨタ ヤリスが売れに売れているももうひとつの理由は、「それでいて非常に活発に走ることができる“楽しい車”だから」ということです。

一概にはいえないことですが、燃費が非常に良好な車というのはその分だけ走りにパンチのようなものがなく、運転がつまらなかったりする場合もあるものです。

しかしヤリス ハイブリッドはスポーツカーに近いぐらいの軽快なコーナリングや、豪快なダッシュなどをキメることもできる車です。前述した「GA-B」という車台の出来が非常によく、なおかつ軽量&パワフルであるということで、いわゆる「胸のすく走り」というものを堪能できてしまうのです。

もちろん多くのドライバーは、そういった性能の車であったとしても特にはスピードを出さず、ゆっくりめに安全運転をしているものでしょう。しかしそういった速度域であっても、「素性の良い車」というのは運転していて気持ちが良いのです。この「気持ちの良さ」こそが、トヨタ ヤリスが売れまくっている理由のひとつであることは間違いありません。

後席は狭いが、「2人乗りの車」と割り切る人が多かった

後席は狭いが、「2人乗りの車」と割り切る人が多かった

トヨタ ヤリスの車内。後席はお世辞にも広いとはいえず、座面の角度もややキツい。

そしてトヨタ ヤリスという車が売れているもうひとつの理由は――これは欠点と表裏一体の微妙な話なのですが、「後席がやや狭い」ということです。

軽量で小ぶりな高剛性ボディであることにより、トヨタ ヤリスは非常に小気味良い走りと、(特にハイブリッドは)圧倒的なまでの燃費性能を実現させています。

しかしその反作用として、この車の後席は「いささか狭い」というのが実情です。

直接のライバルであるホンダ フィットと後席の広さを比較すると、身長175cmの人間がフィットの後席に座った場合、ひざ元と頭上には握りこぶし2つ分以上の空間があります。フィットは小型車ですが、かなり車内が広いというのが美点なのです。

それに対してトヨタ ヤリスは、同身長の人間が後席に座るとひざ元の余裕はこぶし1個分ほどで、頭上の余裕はこぶし半個分ほどになってしまいます。なおかつ後席座面の角度もお尻がずいぶん沈み込む形に設定されていますので、正直快適ではありません。

またヤリスはCピラー(車の後端の柱)を寝かせ気味にすることでスポーティなデザインとしているのですが、その分だけ、後席の乗降は若干しづらくなっています。

これらは明らかにトヨタ ヤリスの「欠点」ともいえる部分です。しかし、それでもヤリスが売れまくっているということは――おそらく、ヤリスを選ぶ多くのユーザーは「そこ」を気にしていないのでしょう。

より正確に言うのであれば「2人乗りの車として割り切っている」ということです。

「後席のことを考えるなら、もっと大きな車か、逆に軽のスーパーハイトワゴンなどを選ぶ。でもウチの場合は後席にあまり人を乗せないから、ヤリスぐらいの後席でもぜんぜん問題ないんです」というニュアンスで割り切っている人にとっては、ヤリスの後席……というか、その比較的小ぶりなボディサイズは「むしろ好都合」なのでしょう。

これが、トヨタ ヤリスがバカ売れしている3つ目の理由であり、さらに加えて、身も蓋もない話ではありますが「トヨタという会社やその販売網への信頼度の高さ」も、この車が圧倒的なまでの支持を得ている大きな理由です。

主に1~2名で乗るユーザーにはうってつけの一台

以上のとおり、

●燃費が良い(特にハイブリッド車は超が付くほど良好)
●それでいて走りも良い
●後席は狭いが、主に2人乗りと割り切るならば問題はない
●なんだかんだでトヨタというブランドの信頼度は絶大

ということで人気を集めている、トヨタ ヤリスという車。

大人数を乗せる機会が多い人や、大がかりな道具を使う趣味をお持ちの人には向きませんが、そうでない人には「かなりおすすめできるコンパクトカー!」といえることは間違いありません。ご興味をお持ちの方はぜひそのまま、具体的に入手する方法をご検討ください。

執筆者
伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
  • <記事掲載日>2021年8月1日
  • <更新日>2021年8月1日

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