【同クラス人気車対決】「ホンダ フリード」vs「トヨタ シエンタ」すべてが何かとジャストで便利なコンパクト・ミニバン編

合計3列のシートに最大7~8人が乗れて、後部ドアが両サイドともスライド式で……という「ミニバン」は、ファミリーで車を使うならやはり最高に便利であるため、売れに売れているジャンルです。

そんなミニバンのなかで、現在の一番の売れ筋は豪華なLサイズミニバンである「トヨタ アルファード」で、その次に売れているのが、5ナンバー枠いっぱいサイズの「トヨタ ヴォクシー」です。

アルファードもヴォクシーもそれぞれ素敵なミニバンですが、世の中には「アルファードは確実に大きすぎるし、ヴォクシーだってちょっと大きすぎる。我が家の場合はもう少し小さめなミニバンのほうがいい」というご家族もたくさんいらっしゃいます。

そしてそんなファミリーに人気が高いのが、「少しだけ小さめの5ナンバーサイズミニバン」であるホンダ フリードとトヨタ シエンタです。

どちらもそれぞれナイスな車であり、よく売れているのですが、この2台はデザインこそまったく違いますが、それ以外のサイズやパワーユニットの種類、価格などは「そっくり」あるいは「よく似てる」といえるため、どちらを選べばいいのか、正直迷うところです。

どちらも実用性と経済性に優れる「素晴らしいコンパクトミニバン」であることは間違いないのですが、我々ユーザーは、もしも手に入れるとしたら両方ではなく「どちらか一台」に限定せざるを得ません。

その場合、わたしたちはどちらを選べばいいのでしょうか? さまざまな観点から比較してみることにしましょう。

【ラウンド1:どっちが売れている?】おおむねイーブンだが、ここ最近はフリードがやや優勢

まずは「今、実際どちらが売れているのか?」というデータを見てみます。

日本自動車販売協会連合会が発表した直近のデータによれば、ホンダ フリードとトヨタ シエンタの販売台数は下記のとおりとなっています。

●2021年1~6月累計
ホンダ フリード|3万5551台
トヨタ シエンタ|3万3753台

●2021年7月単月
ホンダ フリード|6005台
トヨタ シエンタ|4206台

今年の7月単月はホンダ フリードが優勢ですが、1~6月の累計台数は「おおむね同じぐらい」といった感じでしょうか。実力伯仲の両モデルだけあって、さもありなんという数字です。

ただ、2020年5月頃までは明らかにトヨタ シエンタのほうが売れていたのですが、それ以降は「ホンダ フリードのほうがやや優勢」というトレンドが続いています。

ホンダ フリードの運転席まわり。トヨタ シエンタと比べると落ち着いているオーソドックスなデザインといえる。

こちらはトヨタ シエンタの運転席まわり。ややアバンギャルド(前衛的)でポップなデザインはおしゃれだが、好き嫌いは若干分かれるかも。

【ラウンド2:どっちが広い?】広さはほぼ同じだが、各所の使い勝手に一長一短あり

お次はボディサイズや車内の広さ、使い勝手などを比較してみましょう。

ボディサイズは、微妙な違いはありますが「おおむね同じぐらい」だといえます。

●ホンダ フリード|全長4265mm×全幅1695mm×全高1710mm
●トヨタ シエンタ|全長4260mm×全幅1695mm×全高1675mm

ちなみに両モデルとも3列シート仕様と2列シート仕様が用意されていて、フリードの2列5人乗り仕様は「フリード+」、シエンタの2列5人乗り仕様は「シエンタ FUNBASE」という車名になります。

ボディの外寸はおおむね同じぐらいな両者ですが、室内寸法は少々異なっています。

●ホンダ フリード|室内長3045m×室内幅1455mm×室内高1285mm
●トヨタ シエンタ|室内長2535m×室内幅1470mm×室内高1280mm

6~7人乗りである「フリード」の車内スペース。

こちらは7人乗りのみとなる「シエンタ」の車内スペース。

●ホンダ フリード+|室内長2310m×室内幅1455mm×室内高1285mm
●トヨタ シエンタ FUNBASE|室内長1900m×室内幅1490mm×室内高1280mm

2列5人乗りとなる「フリード+」の車内スペースはこのような感じ。

同じく2列5人後となる「シエンタ FUNBASE」。

室内長(インパネの先端からリアシート後端までの距離)は、ホンダ フリードおよびフリード+のほうが余裕ありです。

セカンドシートへの乗り込みやすさを表す指標はどうでしょうか?

●ホンダ フリード|乗り込み高さ:390mm/スライドドア開口部:幅665mm×高さ1165mm
●トヨタ シエンタ|乗り込み高さ:330mm/スライドドア開口部:幅665mm×高さ1145mm

スライドドア開口部の高さはフリードのほうが余裕ありですが、乗り込み高さはシエンタのほうが60mm低いので、小さな子どもや高齢者はシエンタのほうが乗降しやすいでしょう。

3列シート車同士で比べた場合、両者の3列目シートのアレンジ方法と使い勝手は大きく異なります。

ホンダ フリードは、3列目の座面を5:5分割で左右に跳ね上げる格納方式を採用しています。簡単であり、リアゲート開口部の地面からの高さも480mmと低めでもあるため、使い勝手は良好といえます。ただ、左右に跳ね上げた3列目シートにより運転中の後方視界がやや遮られるという弱点はあります。

いっぽうのトヨタ シエンタの3列目シート格納はダイブダウン式。2列目シートの下に格納されるので、出っ張りのないラゲッジ空間を作ることができます。ただ、3列目の格納にはやや手間がかかる(2列目シートを浮かせる必要がある)というのが若干の難点で、リアゲート開口部の地面からの高さも505mmと、フリードと比べると少々高めになります。

【ラウンド3:走行性能と燃費は?】燃費はシエンタ ハイブリッドが若干有利だが、実際は大同小異か

お次は「走行性能」です。

用意されるパワーユニットは、ホンダ フリードが1.5Lガソリンまたは1.5Lガソリン+モーターのハイブリッドで、トヨタ シエンタも同じく1.5Lガソリンまたは1.5Lガソリン+モーターのハイブリッド。

実際のパワーも、「パワー感」も、両者はおおむね同じです(もちろん細かく見れば違うのですが、ざっくり考えると「ほぼ同じ」ということです)。違うのは操縦感覚で、フリードはハンドルやアクセルなどの手応えがある感じで、シエンタは手応えがやや希薄な感じです。

このあたりは人それぞれの好みによりますが、「自分で運転してるんだ!」という感覚がお好きな人には、ホンダ フリードのほうが向いているでしょう。ただ、実際の走行安定性などは両者とも普通に優秀です。

では「燃費」はどうかというと、WLTCモード燃費はそれぞれ下記のとおりです。

●ホンダ フリード(ガソリン・2WD)|17.0km/L
●ホンダ フリード ハイブリッド(2WD)|19.8~20.8km/L
●トヨタ シエンタ(ガソリン・2WD)|17.0km/L
●トヨタ シエンタ(ハイブリッド・2WD)|22.8km/L

ガソリン車の数値は同一ですが、ハイブリッド車はシエンタのほうが若干優秀です。ただ、実際に使用する際には「まぁおおむね同じぐらい」といったニュアンスになるはずです。

【ラウンド4:どっちが安全?】運転支援システムは明らかにフリードが充実している

先進安全装備(運転支援システム)は、ホンダ フリードは「Honda SENSING」が全車標準装備。トヨタ シエンタは「Toyota Safety Sense」が中間グレードのGと上級グレードのG Cueroに標準装備されますが、ベーシックグレードのXではオプションとなります。

またシステムの内容も、フリードのHonda SENSINGはアダプティブクルーズコントロール(高速道路で前方を走る車を勝手に追従してくれる装置)を含む、「あってほしいもの」がほぼ網羅されているのに対し、シエンタのToyota Safety Senseは「必要最低限」といったものでしかありません。

そのため、ここについては明確に「ホンダ フリードのほうが上」とすることができます。

前方を走る車両を追尾し、自動的に速度や車間距離を調整してくれる装置も標準装備となるホンダ フリードのほうが、この部分においては優勢といえる。

【ラウンド5:どっちがお得?】見た目の価格はシエンタ有利だが、装備内容を考えるとフリードがややお得かも

ある意味いちばん気になる「価格」は、モデル全体で考えるとホンダ フリードが199万7600~327万8000円で、トヨタ シエンタが181万8500~258万円なわけですが、モデル全体ではあまりにも幅が広いため、今ひとつピンときません。そのため、各ジャンルの「売れ筋グレード同士」で比較してみましょう。

【ガソリン3列】
●ホンダ フリード G・Honda SENSING(FF/7人乗り)|218万2400円
●トヨタ シエンタ G(FF)|210万7000円

【ハイブリッド3列】
●ホンダ フリード HYBRID G・Honda SENSING(FF/7人乗り)|258万3900円
●トヨタ シエンタ G ハイブリッド車(FF)|247万3000円

【ガソリン2列】
●ホンダ フリード+ G・Honda SENSING(FF)|218万2400円
●トヨタ シエンタ FUNBASE G(FF)|206万6000円

【ハイブリッド2列】
●ホンダ フリード+ HYBRID G・Honda SENSING(FF/7人乗り)|258万3900円
●トヨタ シエンタ G ハイブリッド車(FF)|243万2000円

全体として「似たようなものだが、トヨタ シエンタのほうがちょっと安い」という価格設定です。しかし前述したように運転支援システムの内容はホンダ フリードのほうが充実していますので、一概に「シエンタのほうが安いからお得」とは言えません。

装備の違いを勘案すると「互角か、フリードのほうがちょこっとお得か?」ぐらいの判定が妥当なところでしょう。

運転支援システムが若干プアなのは難点だが、「そこはなくてもOK」と考えるなら、車両価格が若干安めなトヨタ シエンタもお買い得とはいえる。

【判定】フリードの「判定勝ち」ではあるが、決して大差ではない

以上のとおり、ホンダ フリードとトヨタ シエンタは「おおむね似ているし、おおむね互角ではあるのだが、ところどころにおいて明確な優劣がある」という結果になりました。

3列目シートや荷室の使い勝手に関しては、優劣というよりも「好みや使い方次第で評価は変わる」といった話になるでしょう。また全体としてのデザインも、トヨタ シエンタは「華やかでおしゃれ」で、ホンダ フリードは「ちょっと地味」といえそうですが、ここも人それぞれの好みの問題です。

そのうえであえて判定を下すとすれば、「先進安全装備が充実していて、操縦感覚も希薄ではないホンダ フリードがやや優勢。ただし街なかでの買い物などが主な使用目的であれば、ちょい乗りでも燃費がいいトヨタ シエンタ ハイブリッドという選択も悪くない」ということになるでしょう。

ひとつの参考意見として、お役立ていただけるなら幸いです。

執筆者
伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
  • <記事掲載日>2021年9月1日
  • <更新日>2021年9月1日

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