【同クラス人気車対決】「日産 サクラ vs 三菱eKクロスEV」早くも大ヒット! 軽EVの王者決定戦

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これまでの軽自動車のパワーユニットは、660ccのガソリンエンジンか、せいぜいそれにマイルドハイブリッドシステム(発進や加速の際に小さなモーターがエンジンをアシストする簡易的なハイブリッドシステム)を加えたものだけでした。

しかし2022年6月、ついにピュアEVである「日産 サクラ」と、サクラと同じプラットフォームおよびEVシステムなどを採用した「三菱 eKクロスEV」が発売され、いよいよ軽自動車であってもEVが選べる時代がやってきました。

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自宅に充電施設があれば「燃料費」に相当するコストを激的に下げることができ、電気モーター特有の「力強い走り」が可能になる軽EVはかなり気になる存在ですが、ところで日産 サクラと三菱eKクロスEVはこの2モデルは何がどう違い(またはどう同じで)、そしてもしも自分が乗るとしたら、“どっち”を選ぶのが正解なのでしょうか?
さまざまな観点から、両者を比較してみることにしましょう。

こちらが日産 サクラ。

サクラと同じ車台、同じEVシステムを使っている三菱 eKクロスEV。

【ラウンド1:どっちが売れてる?】どちらも初期受注は絶好調

ご承知のとおり現在は半導体の不足や、世界的なコロナ禍に関連する各種部品の品不足等により、各メーカーの新車はデリバリー自体が遅れ気味です。そのため全軽自協が毎月発表している「軽四輪車 通称名別 新車販売確報」の最新の数字は、各車の正確な売れ行きを反映しているとは言い難いものがあります。

そのため、日産と三菱の両社が発表した「初期受注の数」を見てみますと、日産 サクラはデビュー後の約3週間で1万1000台以上のオーダーを受けており、三菱 eKクロスEVも、約1カ月で月販売目標台数(850台)の4倍にあたる約3400台の先行受注が入ったとのこと。

日産 サクラの目標販売台数は公開されていませんし、日産と三菱の規模の違いにより、両モデルの受注数自体にはけっこうな開きがあるのですが、それでも「日産 サクラと三菱eKクロスEVは今、どちらもよく売れている!」ということができるでしょう。

どちらもよく売れている日産 サクラと三菱 eKクロスEVだが、特にサクラは発表から約3週間で1万1000台以上の注文が入っている。

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【ラウンド2:どっちのメカニズムが優秀?】プラットフォームとEVシステムなどはまったく同じものを使用

日産 サクラと三菱eKクロスEVは、日産と三菱の合弁会社である「株式会社NMKV」が企画した、ある意味兄弟車。それゆえ、両モデルのプラットフォームやEVシステム、出力、タイヤ、一充電航続距離、基本的な安全装備などはまったく同じです。

具体的には、バッテリー容量は両者とも20kWhで、一充電航続距離は180km(WLTCモード)。駆動用モーターのスペックも最高出力47kW(64ps)/最大トルク195Nmと同一です。ちなみに195Nmという最大トルクは、軽の一般的なガソリンターボエンジンの約2倍に相当します。

そのほかタイヤサイズも両者は155/65R14と同じですので(※ただし三菱 eKクロスEVの「P」という上級グレードだけは165/55R1 5)、いわゆる走りに関係するメカニズムや、それが生み出すフィーリングは「ほぼ同じ(互角)」と考えてOKです。

【ラウンド3:どっちのデザインが素敵?】よりスペシャル感が感じられるのは日産 サクラ

日産 サクラと三菱 eKクロスEVの基本的なメカニズムは同一ですが、「デザイン」は大きく異なります。

日産 サクラの内外装デザインは完全オリジナルの新作。エクステリアでは、日本の「水引」をイメージした和テイストな前後バンパーやアルミホイール、日産の軽乗用車として初採用された3眼薄型ヘッドライトなどが特徴。

そしてインテリアは「モノリス」と呼ばれる7インチ+9インチの一体型ディスプレイや、エクステリア同様にどこか和テイストなデザインがドア下部などに見られるのが特徴的です。

日産 サクラのデザインは全体的に、日産製EVのトップモデルである「アリア」のデザインを引き継いだうえでコンパクトにまとめた「スペシャル感のあるもの」だといえるでしょう。

専用デザインをまとう日産 サクラ。ホイールなどには日本の「水引」を引用したデザインが採用されている。

2つの液晶ディスプレイを水平方向にレイアウトした日産 サクラのインパネまわり。なかなかしゃれている。

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一方の三菱 eKクロスEVは、ガソリンエンジンを搭載する「eKクロス」とほぼ同じ。クロームメッキを施したグリルや小型LEDフォグランプを採用していたり、あるいはインテリアではメーターとコンソールまわりのデザインがEV専用だったりはしますが、ガソリンモデルと大きく変わった印象はありません。

三菱 eKクロスEVのエクステリアデザインは、細かい部分以外はガソリン車と同一。

インパネまわりのデザインも、三菱 eKクロスEVはガソリン車とおおむね同一となっている。

方向性というかコンセプトが異なる両者の「どちらが上か?」というのは微妙な問題で、人それぞれの好みによるとは思います。しかしなるべく客観的に見るならば、「何かとスペシャル感が強い日産 サクラのデザインのほうが“ありがたみ”が強い」と言うことはできるでしょう。

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【ラウンド4:価格と装備はどっちが魅力的?】ほぼ同価格で「プロパイロット」を選ぶか、それとも「寒冷地仕様」を優先させるか?

ある意味兄弟車ですから当然といえば当然なのですが、日産 サクラと三菱 eKクロスEVは価格と装備内容も似通っています。

現在販売されている両モデルのグレードラインナップと車両価格は下記のとおりです。

【日産 サクラ】
●G(2WD)|294万300円
●X(2WD)|239万9100円

【三菱 eKクロスEV】
●P(2WD)|293万2600円
●G(2WD)|239万8000円

両者とも要するに「上級グレードが294万円ぐらいで、ベーシックグレードが240万円ぐらい」ということでほとんど同じなのですが、それぞれの上級グレードの装備内容には若干の違いがあります。

サクラの上級グレードである「G」には、日産自慢の先進運転支援システム「プロパイロット」が標準装備されているのですが、車両価格はほぼ同じであるeKクロスEVの上級グレード「P」では、プロパイロットの三菱側の呼称である「マイパイロット」はパッケージオプション扱いなのです。

日産自慢のプロパイロットは上級グレードである「G」には標準装備され、ベーシックな「X」でもオプションとして装着可能。

「サクラのGとほぼ同じ価格であるにもかかわらず、高額なマイパイロットをオプション扱いにするとは、eKクロスEVはけしからん!」と思うかもしれませんが、これは三菱がけしからんわけではなくて「考え方の違い」によるものです。

日産はサクラの上級グレードに「高速道路同一車線運転支援機能」であるプロパイロットを標準装備しましたが、三菱は「とはいえ軽だから、eKクロスEVで高速道路を走る機会は少なめであるはず」と考え、あえてマイパイロットは標準装備にしなかったのです。

そしてその代わりに、EVにとっての大敵である「寒さ」対策として、寒冷地仕様である「電動格納式ヒーテッドドアミラー」や「運転席&助手席シートヒーター」「ステアリングヒーター」「リヤヒーターダクト」を標準装備としたのです。日産 サクラのGはプロパイロットが標準である代わりに、これらは「ホットプラスパッケージ」というセットオプション扱いです。

それゆえこのあたりについては「優劣」ではなく、高速道路をひんぱんに使う予定があるかどうかで「向き不向き」の判断が変わる――ということになります。

三菱 eKクロスEVの上級グレード「P」は、「マイパイロット」がオプションとなる代わりにステアリングヒーターや前席シートヒーターなどを標準装備する。

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【判定】ある意味同じ車なので必然的に「引き分け」。どちらを選んでも満足度は高い!

ここまで述べてきたとおり、プラットフォームやメカニズムはまったく同じものを使用している日産 サクラと三菱 eKクロスEVだけあって、この“対決”の結果は必然的に引き分けとならざるを得ません。

そのうえで考えるべきは「どちらの内外装デザインが自分の好みか?」ということと、上級グレードの場合は「高速道路同一車線運転支援機能のプロパイロットを優先するか、それともステアリングヒーターなどの寒冷地仕様になっていることを優先するか?」という、人それぞれの使用環境に基づく向き不向きということになります。

結論としてどちらを選ぶとしても、サクラとeKクロスEVは圧倒的に静かでありながらパワフルでスムーズな走りを堪能できる、今もっとも注目すべき軽乗用車であることだけは間違いありません。

そんな両モデルもオリックスカーリースなら、日産 サクラの場合は月額税込み2万7830円から(※補助金あり)、三菱 eKクロスEVは月額税込み2万7940円から(※補助金あり)リース可能です。

この機会にぜひ「軽乗用車のまったく新たな世界」を味わってみることを、強くおすすめいたします。

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※令和4年度のCEV補助金は、令和4年10月末頃に申請受付が終了する見込となっております。申請受付終了後に車両登録となった場合、CEV補助金はご利用いただけません。

執筆者
伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
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  • <公開日>2022年9月30日
  • <更新日>2022年9月30日