【販売ランキングチェック!売れているクルマでおすすめはコレ】2021年上半期の販売台数ランキングを総括!

日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会は7月6日、2021年上半期(2021年1月~2021年6月)の車名別新車販売台数ランキングを発表しました。

そこから読み取れるさまざまな事象のなかから、「自動車産業の構造変化」などのややこしい話ではなく、我々ユーザーの生活に直接関係がある、なるべく「お得」「楽しさ」「満足」といった部分につながる話題をピックアップしてみたいと思います。

トヨタの大躍進を陰で支えたのはダイハツだった?

まずは登録車(軽自動車ではない乗用車)のランキングから見てみましょう。

2021年上半期(2021年1月~6月)乗用車トップ10(※カッコ内の数字は前年比)
1位|トヨタ ヤリス 11万9112台(247.5%)
2位|トヨタ ルーミー 7万7492台(206.0%)
3位|トヨタ アルファード 5万6778台(155.1%)
4位|トヨタ カローラ 5万3864台(94.1%)
5位|トヨタ ハリアー 4万8271台(350.6%)
6位|トヨタ ライズ 4万7965台(82.0%)
7位|日産 ノート 4万6879台(112.4%)
8位|トヨタ ヴォクシー 4万1101台(121.5%)
9位|ホンダ フリード 3万5551台(91.5%)
10位|トヨタ シエンタ 3万3753台(84.0%)

ランキングからいえること その1:トヨタ強し!

見てのとおり、トップ10のうち8車種を、トヨタのモデルが占めています。昨年同時期のトップ10にもトヨタ車は7車がランクインしていましたが、今期はさらに1車種が増えています。

具体的には、昨期はフルモデルチェンジ直前だったため28位に沈んでいた「トヨタ ハリアー」が、今期は5位に躍り出たわけですが、それ以上に「昨今、トヨタ車の魅力が増し続けている」というのが根本原因であるように思えます。

ひと昔、いやふた昔前までのトヨタ車は「普通によくできてるけど、なんかつまらない(エキサイティングじゃない)」的に批判されることも多い存在でした。

しかし2009年に現社長の豊田章男氏が代表取締役に就任して以降、トヨタの車は「普通以上によくできていると同時に、エキサイティングでもある」という方向を目指し始めました。

その方向性が近年やっと結実したことで、ここ最近トヨタから登場するニューモデルまたは改変モデルはほぼどれも、濃い口の自動車ファンをもうならせるクオリティとデザイン性とを備えています。つまり「楽しく乗れる、いい車」ということです。

もしもふた昔前の常識(?)にとらわれて、「トヨタ車はつまらないからな~」なんて言っている人がいたとしたら、その認識は早めに改めることをおすすめしたいと思います。

例えばの話として、2021年上半期の1位となったトヨタ ヤリスと、12位のホンダ フィットとを簡単に比較してみましょう。

2021年上半期の登録車販売台数ナンバーワンとなったトヨタ ヤリス。

こちらはホンダ フィット。トヨタ ヤリスとよく似た立ち位置のコンパクトカーで、2021年上半期はそれなりに売れたのは確かだが、ヤリスの後塵を拝してしまったのも確か。

どちらもコンパクトカーとしての出来は素晴らしく、どちらを入手したとしても十分満足できるだろうことは間違いありません。

しかし「デザイン性」においてはトヨタ ヤリスのほうが上といえる可能性が高く(少なくともヤリスは個性的で、フィットはちょっと地味だとはいえるでしょう)、走りの質感も「ヤリス=エキサイティング」「フィット=落ち着いている」といった結果になっています。

ヤリスとフィットの1位と12位という順位は、そのまま車の実力差を表しているわけではなく、個性というか指向性が違うだけです。ただ、少なくとも「トヨタ車=つまらない」ということだけは、もはやいえない時代になったのです。

●ランキングからいえること その2:ダイハツも強し!

「トヨタが強い!」というのはそのとおりなのですが、それを部分的に支えているのは、実はダイハツだったりします。

ランキング1位のヤリスは純粋なトヨタ車ですが、それに次いで売れている「トヨタ ルーミー」は、トヨタではなく、子会社であるダイハツが主導して開発した小型ハイトワゴンです。ちなみに本家ダイハツ版は「トール」という車名で、そちらも2021年上半期は計8289台を販売しています。

また今期6位で、昨期は1位だったコンパクトSUV「トヨタ ライズ」も、トヨタではなくダイハツが作った車です。ダイハツ版の車名はロッキー。こちらも今期1万1220台と、なかなかよく売れています。

つまり、昨今のトヨタの強さの裏側には「ダイハツの実力」も確実に存在しているのです。

こちらは第2位となったトヨタ ルーミーのダイハツ版というか「本家」にあたるダイハツ トール。

第6位に入ったトヨタ ライズも、そもそもはダイハツが主導して開発したダイハツ ロッキー(写真上)のトヨタ版だ。

「ダイハツって軽自動車の会社でしょ?」という認識だけで終わらせず、小型乗用車を入手する際にもダイハツという「隠れ実力派」に注目してみると、車選びはもっと幅広く、楽しいものになるかもしれません。

またそのほかにいえることとしては、「SUV全盛の時代といわれているが、まだまだミニバンも強い」というのがあります。トップ10に3車種のミニバンがランクインしていて、特に上半期3位のトヨタ アルファードはなかなか高額な車であるにもかかわらず、多くのユーザーから「圧倒的」といえるほどの支持を得ているようです。

「軽スーパーハイトワゴン全盛時代」はまだまだ続きそう

では次に軽自動車のランキングを見てみましょう。

2021年上半期(2021年1月~6月)軽乗用車トップ10(※カッコ内の数字は前年比)
1位|ホンダ N-BOX 11万551台(109.0%)
2位|スズキ スペーシア 7万8698台(120.5%)
3位|ダイハツ タント 6万9262台(111.3%)
4位|ダイハツ ムーヴ 5万7761台(119.6%)
5位|日産 ルークス 5万55台(209.9%)
6位|スズキ ハスラー 4万8221台(128.9%)
7位|スズキ アルト 3万6359台(118.9%)
8位|ダイハツ ミラ 3万6159台(95.4%)
9位|ダイハツ タフト 3万2191台(633.8%)
10位|日産 デイズ 3万1558台(57.1%)

このなかで10位の日産 デイズは前年比57.1%という「異常値」ともいえる数字になっていますが、これは、前年まで合算で集計されていたデイズ ルークスが「ルークス」という車名に変わったことで、ルークスの分の販売台数が引かれたことによる「見かけ上の異常値」です。

それはさておき、上記のランキングから見て取れることを考えてみましょう。

●ランキングからいえること その1:軽スーパーハイトワゴンはやはり強し!

全高が1700mm以上で、なおかつ後席スライドドアが採用されている「スーパーハイトワゴン」はこのところの軽自動車では一番人気のカテゴリーですが、2021年上半期もその独走は続いたようです。

具体的には、1~3位はすべて軽スーパーハイトワゴンであり、5位に入った日産 ルークスもそうです。1~10位の上半期総販売台数は55万815台ですが、そのうちの20万9566台、つまり4割近くをスーパーハイトワゴンで占めているのです。「軽乗用車といえばスーパハイトワゴン」という時代は、まだしばらく続きそうだといえるでしょう。

今年上半期の軽自動車販売台数第2位となったスズキ スペーシアは、まるでスーツケースのようなボディでデザインがおしゃれな軽スーパーハイトワゴン。

こちらも軽スーパーハイトワゴンであるダイハツ タント。ホンダ N-BOXとスズキ スペーシアに次ぐランキング3位に入っている。

●ランキングからいえること その2:とはいえ王者ホンダ N-BOXに翳りが?

売れに売れている軽スーパーハイトワゴンのなかでも一番売れているのは、ホンダのN-BOXです。N-BOXは長らく「軽自動車販売台数日本一」の座をキープしているだけでなく、登録車(軽ではない乗用車)の販売台数を合わせた総合ランキングでも、過去4年にわたって「日本一」だったのです。

しかし2021年上半期、その構図が若干崩れ始めました。

今年上半期も安定のナンバーワンに輝いたホンダ N-BOX。しかし長らく続いた「日本で一番売れてる車」の座は、登録車であるトヨタヤリスに譲る形に。

相変わらず「軽ナンバーワン」の座はぶっちぎりで維持しているホンダ N-BOXですが、登録車の販売台数も含めた総合ランキングでは「トヨタ ヤリス」に日本一の座を奪われたのです。

ホンダ N-BOXが王座から陥落した正確な理由はわかりませんが、ひとつ考えられるのが、軽スーパーハイトワゴンという存在が、オプション装備などを含めると「実はけっこう高額な車」に“成長”してしまったことで、「……同じような値段を払うなら、軽ではなく登録車にしようかな?」と考えるユーザーも増えてきたから……なのかもしれません。

とはいえ軽スーパーハイトワゴンには「税金などの維持費が安い」「でもそれでいて、室内スペースは登録車以上に広々している」というストロングポイントがあることは間違いありません。

そのため、多少の翳りはあったとしても、ホンダ N-BOXを中心とする軽スーパーハイトワゴンの人気はまだまだ続くことでしょう。

「軽自動車SUV」の一騎打ちはスズキ ハスラーに軍配が上がる

そのほか注目のポイントとしては、今人気の「軽自動車SUV」における先駆者・スズキ ハスラーと、後発となったダイハツ タフトの“勝負”の行方があります。

2019年12月のフルモデルチェンジで2代目へと進化した軽自動車SUVというジャンルの先駆者、スズキ ハスラー。

こちらは「打倒ハスラー!」を合言葉に(?)、2020年6月に新規発売されたダイハツ タフト。

結論からいうと、2021年上半期の勝者は先駆者・スズキ ハスラーでした。

ダイハツ タフトも、デビューが昨年の途中だっただけに「前年比633.8%」という飛躍は見せましたが、上半期の累計販売台数はスズキ ハスラーのほうが1万6000台以上多いという結果になりました。

スズキ ハスラーのほうがよく売れた理由は、荷室などの機能性が優れているからなのか? 走りがいいからか? それともハスラーのほうがデザイン性が高いのか……というのは、両者を検討したユーザーひとりひとりにヒアリングしないことにはわかりません。

しかしひとつだけ確実にいえるのは、少なくとも2021年上半期においては「市場(ユーザーの総体)はスズキ ハスラーを選んだ」ということです。

市場というのは「神の見えざる手」によって調整されているともいわれますので、今期のこの結果は、スズキ ハスラーとダイハツ タフトの間で心が揺れ動いている人にとって、ある程度の参考にはなるのではないかと思います。

執筆者
伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
  • <記事掲載日>2021年9月1日
  • <更新日>2021年9月1日

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