【同クラス人気車対決】「ホンダ e」vs「日産 リーフ」
これからの時代の主流となる(?)電気自動車編

「なるべくエコであることを意識する」というのは、昔は「無理してやる」「頑張る」といったニュアンスを伴っていたように思います。しかし最近は地球環境を意識した行動をとることが「ある意味当たり前」となり、「エコじゃない消費行動はカッコ悪い」とすら感じられるように変わってきました。

そうなると車もハイブリッド車などが主流になってきますし、さらに一歩進んでEV(電気自動車)」の導入を真剣に考えている人も増えているのではないでしょうか?

そして、もしも国産EVを導入するとしたら、現時点でのリアルな候補は「日産 リーフ」か「ホンダ e」の二択になります。

どちらもそれぞれナイスなEVですが、我々ユーザーは、もしも手に入れるとしたら両方ではなく「どちらか一台」に限定せざるを得ません。

その場合、わたしたちはどちらを選べばいいのでしょうか? さまざまな観点から比較してみることにしましょう。

【ラウンド1:どっちが長く走れる?】基本的には日産 リーフが有利で、特に「リーフe+」は十分な航続距離を誇るが……

車の「性能」にはさまざまな項目がありますが、EVの場合は「一充電航続距離」という性能がけっこう重要です。かなり極端な例ではありますが、1回フル充電しても50km程度しか走れないEVと、400kmぐらいは走れるEVでは、付き合い方を180°変える必要があるからです。

ということで両者の「一充電航続距離」を見てみましょう。

【日産 リーフ】
●リーフ(40kWhバッテリー搭載)|322km
●リーフe+(62kWhバッテリー搭載)|458km

【ホンダ e】
●ホンダ e(35.5kWhバッテリー搭載)|283km
●ホンダ e Advance(35.5kWhバッテリー搭載)|259km

日産 リーフは標準車が40kWhのバッテリーを搭載していて、「e+」というシリーズが62kWhの大容量バッテリーを搭載しています。ホンダ eは2グレードともバッテリー容量は同じですが、モーター出力と装備の違いによって「ベースグレード」と「Advance」に分かれています。

上記の各数字はWLTCモードという計測方法によるものですが、一充電航続距離については日産 リーフが基本的には有利であり、特に大容量バッテリーを搭載しているリーフe+の航続距離はなかなかのものです。それに対してホンダ eの航続距離は――特にAdvanceのそれは、いささか心もとない数字となっています。

ということで、一充電航続距離については「日産 リーフの勝ち!」としてもいいのですが、話はそう簡単ではありません。

ホンダ eの航続距離が短いのは「あえてそうしている」のであって、「日産 リーフよりも劣っている」というわけでもないのです。

ホンダが、ホンダ eというEVにあえてやや小さめのバッテリーを採用した理由は、この車が「近距離スペシャル」だからです。

大きなバッテリーを搭載すれば、いくらでも航続距離を延ばすことはできますが、そうすると今度は大きく重いバッテリーの影響で「走りの軽快さ」は失われてしまいます。また大きなバッテリーは「充電に時間がかかる」という問題もあります。

ホンダ eは、長い距離を無充電で走れるという性能をあえて捨てて、「長い距離は走れない代わりに、近所の道路はひたすら軽快に走ることができる」という性能にすべてを振ったEVなのです。

そのためこの第1ラウンドは、「基本的には無効試合。ただ、長距離を走りたい人には日産リーフのe+がおすすめである」という結果になります。

【ラウンド2:どっちの使い勝手が良い?】パーソナルなホンダ eと、3~4名乗車もOKな日産 リーフ。充電の容易さはホンダ eに軍配か

お次はボディサイズや車内の広さ、充電の容易さなどを比較してみましょう。

まず、それぞれのボディサイズは下記のとおりです。

●日産 リーフ|全長4480mm×全幅1790mm×全高1540~1565mm
●ホンダ e|全長3895mm×全幅1750mm×全高1510mm

どちらも最近の車としては比較的コンパクトですが、そのなかでも日産 リーフはやや大きめで、ホンダ eは「コンパクトカーらしいサイズ」と言うことができるでしょう。

こちらは日産 リーフ。全長は約4.5m。

こちらはコンパクトな作りのホンダ e。全長は約3.9m。

では室内の寸法はどうでしょうか?

●日産 リーフ|室内長2030mm×室内幅1455mm×室内高1185mm
●ホンダ e|室内長1845mm×室内幅1385mm×室内高1120mm

室内寸法もおおむねボディサイズと連動していて、「日産 リーフ=まあまあ広い」「ホンダ e=コンパクトカーらしい室内寸法」といった結果になっています。これは優劣というよりもコンセプトの違いでしょう。「コンパクトカーとはいえ、3~4名で乗ることも多い」という人のために設計されたのが日産 リーフで、「1~2名乗車でパーソナルに使いたい」という人のために作られたのがホンダ eである――ということです。

日産 リーフの前後席。

2枚の写真に分かれているが、こちらがホンダ eの前席と後席。

では「充電の容易さ」についてはどうでしょうか?

自宅で200V充電をする際にかかる時間は、40kWhの日産 リーフとホンダ eはほぼ同等ですが、62kWh大容量バッテリーを積むリーフe+は1時間あたり6kWhで行っても12時間半、家庭用普通充電器の出力は3kw/hですので、通常の1時間あたり3kWhで充電をすると約20時間はかかってしまいます。

出先の充電施設で行う「急速充電」に関しては、日産 リーフが30分の急速充電で18~20kWhなのに対し、ホンダeは同じく30分の急速充電で25~28kWhの充電が可能になっています。

以上のことから考えると――両者のそもそものコンセプトが違うため直接の比較はしづらいのですが、充電性能については「ホンダ eが若干有利」と言うことはできるでしょう。

【ラウンド3:走行性能は?】パワー重視なら日産 リーフ、ハンドリングの気持ちよさ重視ならホンダ e

お次は「走行性能」です。

電気モーターというのは、徐々にパワーが上がっていくエンジンと違って「いきなり最大のパワーが出る」という特性がありますので、パワー感については両者とも良好です。どちらも、非常に力強い走りを堪能することができます。

エンジン車しか乗ったことがない人が初めてEVに乗ると、その力強い加速感に最初はびっくりするかも? 写真は日産 リーフ。

そのうえで、

●日産 リーフ|1490~1520kgの車重に対して150psのモーター
●日産 リーフ e+|1670~1680kgの車重に対して218psのモーター
●ホンダ e|1510kgの車重に対して136psのモーター
●ホンダ e Advance|1540kgの車重に対して154psのモーター

というスペックになりますので、絶対的なパワー感は日産 リーフのほうが上です。特にリーフのe+はかなり強力です。

しかし、パワー感だけでなく「ハンドリングの良さ」「軽快感」などを含めた総合的な走行フィールに関しては、RRという駆動方式を採用したうえで軽量に作られているホンダ eのほうが断然上です。日産 リーフが、決して悪いわけではないのですが「まぁ普通に良い」というぐらいであるのに対し、ホンダ eの走行フィールは「非常に良い!」といったニュアンスなのです。

これまた両者の「そもそもの狙い」が異なっているため比較するのもナンセンスなのですが、「パワーは日産 リーフ」「ハンドリングの気持ちよさならホンダ e」というのがいちおうの結論となります。

【ラウンド4:デザインはどちらがステキ?】ここについては「未来感」たっぷりなホンダ eに軍配!

デザインの感じ方というのはあくまで主観的なものなので、断定すべきものではないのかもしれません。

ホンダ eのエクステリアデザインは、往年のホンダ シビックに通じる造形を見事に再構成しました。「懐かしさと未来感の両立」に成功しています。

そしてインテリアは一転して「未来感のかたまり」で、5つのスクリーンを水平配置した世界初の「ワイドビジョンインストルメントパネル」や、量産車として世界で初めて標準装備された「サイドカメラミラーシステム」などは、ドキドキするほどカッコよさと「未来っぽさ」を感じさせます。

レトロなイメージと未来っぽさが見事に同居しているホンダ eのフロントマスク。

ホンダ eの運転席まわりはこのようなデザイン。5つのスクリーンが水平配置され、後方の様子も、ドアミラーではなく「サイドカメラミラーシステム」で確認する。

それに対して日産 リーフのエクステリアおよびインテリアは――決して悪くはないのですが、あくまでも「これまでの車の延長線上にあるデザイン」といった内容で、スペシャル感がないのです。

もちろん人それぞれの好みもありますので「自分は日産 リーフのデザインのほうが好きだ!」という人もいらっしゃるでしょうが、なるべく客観的に見れば、ホンダ eに軍配があがるのではないでしょうか。

決して悪くはないものの、「今までの車の延長線上にあるデザイン」といえる日産 リーフの運転席まわり。

【ラウンド5:どっちがお得?】どちらも値は張るが、相対的にお安いのは日産 リーフ

ある意味いちばん気になる「価格」は、それぞれ下記のとおりとなっています。

●日産 リーフ|332万6400~419万3200円(※特殊なグレードであるNISMOとAUTECHは除く)
●ホンダ e|451万~495万円

EVの購入はさまざまな「補助金」の対象となっていますので、実際は上記の車両価格より数十万から150万円ほどお安く入手できます(※補助金の総額は居住地や年齢などによって変わります)。

とはいえ両者ともそれなりにお高いお値段で、特にホンダ eはなかなかの高額といえるプライス設定になっています。そのため、何をもって「お得」とするかは微妙なのですが、「相対的にお安いのは日産 リーフである」というのが結論となります。

1台でまかなうなら日産 リーフだが、セカンドカーとしてはホンダ eが楽しい

さまざまな項目について“勝負”を行ってきましたが、日産 リーフとホンダ eは「比較的コンパクトなEVである」という点こそ共通していますが、それ以外の点については「まったくコンセプトが異なる」といっても過言ではないため、(今さらですが)この勝負自体にあまり意味がなかったのかもしれません。

日産 リーフとは「それ1台でガソリン車の代わりに使えるEV」です。特に大容量バッテリーを搭載したリーフ e+は、ご自宅に充電設備さえあれば、ガソリンエンジン車の代替品としてごく普通に使うことができます。ただしバッテリーが大きくて重い分、動きの軽快さにはやや欠けます。

一方のホンダ eは「これ1台だけで、ガソリン車の代わりにメインで使う」のはほぼ不可能です。別に何らかのガソリン車またはディーゼル車を所有している人が、セカンドカーとして近所での用事を済ませるために使うのが、ホンダ eというEVなのです。ただしその代わり、「ご近所スペシャル」としての実力は超一流です。また内外装デザインにも素晴らしいものがあります。

もしも「エンジン車はもう嫌だ! 今後、我が家の車はEVに一本化する!」というのであれば、おすすめは、というか選ぶべきは、日産 リーフ e+しかありません。

そして、もしも「今あるエンジン車のほかにもう一台、サブとしてのEVも欲しい!」というのであれば、ホンダ eと日産 リーフのうち、デザインとたたずまい、および走行フィールが気に入ったほうをお選びになればOKです。

以上が、この“勝負”の最終結論となります。

執筆者
伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
  • <記事掲載日>2021年11月12日
  • <更新日>2021年11月12日

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