【人気車ヒットの理由】「スズキ ソリオ」乗れば誰もがわかる実力で静かなヒットを記録!

ジャンルを問わず「人気商品」には、人気を博すだけの理由=良いところが必ずあるものです。そしてそれは車においても同様で、大ヒットしている車にはほぼ必ず、ヒットするだけの理由=美点があります。

このコーナーでは「今、かなり売れてる車」をピックアップし、その売れてる理由を明らかにしてまいります。

第6回となる今回は、2021年度上半期(4~9月)の累計販売台数ランキング18位と、スズキの登録車としては異例の大健闘をしている「スズキ ソリオ」です。

先代の弱点だった居住性を改善するも、小回り性能は維持

スズキ ソリオは、もともとは「スズキ ワゴンRワイド」という車名で、軽トールワゴンであるスズキ ワゴンRの小型乗用車版として1997年に誕生したコンパクトトールワゴンです。

その後「ワゴンR+(プラス)」「ワゴンRソリオ」と微妙に車名を変え、2005年の改良時に「スズキ ソリオ」という車名に落ち着きました。現在は、ワゴンRワイドから数えて第5世代にあたるモデルが2020年12月に発売され、前述のとおり大健闘しています。

2015年から2020年まで販売された先代ソリオもかなり良くできたコンパクトトールワゴンでしたが、ユーザーからは「居住空間をもっと広げてほしい」「荷室がやや狭い」といった不満もあったようです。

そのため現行型では全長を80mm、全幅を20mm拡大することで居室および荷室スペースを広げましたが、「扱いやすい小ぶりなサイズである」「小回りが利く」というソリオならではの美点は完全にキープされています。

外寸と室内寸法を先代より大きくしたにもかかわらず、「最小回転半径4.8m」という抜群の小回り性能はキープされている。

ノンターボエンジンだが力感は十分。そして先進安全装備も充実

パワーユニットは、最高出力91psの1.2L直4エンジンに同3.1psのモーター機能付き発電機と専用リチウムイオンバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッド(※最廉価グレードの「G」を除く)。ターボ付きエンジンほどの強力なパワーではありませんが、その力感は「必要十分以上」といったニュアンスです。

そして、このクラスですと振動の大きい3気筒エンジンが搭載される場合が多いのですが、スズキ ソリオはあえて4気筒エンジンを選び、なおかつ遮音性能にもかなり注力しました。そのためソリオは、1.2Lの実用的なエンジンであるにもかかわらず、どこか「高級感」のようなものも少し感じさせるに至ったのです。

安全装備に関しては、さらに進化したスズキの予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」を全車に標準装備(※非装着車も選択可能)。

夜間の歩行者も検知するステレオカメラ方式の衝突被害軽減ブレーキをはじめ、誤発進抑制機能や車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能が付いていて、最廉価グレードである「G」以外はアダプティブクルーズコントロール(全車速追従機能付き)も標準です。

最廉価グレード以外の全車に全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロールを標準装備。

シンプルで実用的なデザインだが、センスはまずまず良好なインパネまわり。

そんな現行型スズキ ソリオは、乗り味も、実用車としては大いに上質です。

ISG(モーター機能付き発電機)のアシストのおかげで、アイドリングストップ状態からのエンジン再始動はきわめてスムーズ。そしてスズキ自慢の新骨格「HEARTECT」に加えて、構造用接着剤で部品間のわずかなすき間を埋めているせいか、ファミリーユース向けの柔らかな乗り心地であるにもかかわらず、同時に「しっかり感」のようなものもドライバーに伝わってきます。

フロントシートの座り心地もきわめて良好で、後席の乗り心地も上級セダン並みに快適。前後スライド可能な後席をもっとも前方にセットしても、身長175cmの乗員のひざ元には6cmほどの余裕があります(そして一番後ろまで下げれば余裕で足が組め、その状態でも55cmの荷室長が確保されています)。

リアシートは最大165mmの前後スライドと、最大56°のリクライニングが可能。

決してギラギラ系ではない「バンディット」のデザインも◎!

スズキ ソリオのグレードラインナップというかモデルラインナップは、標準モデルである「ソリオ」と、他社で言うところのカスタム系に相当する「ソリオ バンディット」の2つに、まずは大きく分かれます。

こちらがスズキ ソリオの標準車。

こちらが上級モデルに相当するソリオ バンディット。

カスタム系と言えるバンディットですが、「ギラギラしたメッキパーツを多用することで存在感を出す」という、他社ではよく見られる「押し出し命」なデザイン手法を採用していないため、ギラギラ系は好まない「大人のユーザー」でも、違和感や嫌悪感は抱かないものと思われます。

スズキ ソリオのライバルとなるのは、ずばりトヨタ ルーミーです。先代のスズキ ソリオがスマッシュヒットしたことで、それをターゲットにダイハツとトヨタの連合軍が急きょ開発したのがルーミーという車。そのためサイズや個性はかなり似通っている両者ですが、車としての出来(特に走行フィールの良し悪し)に関してはスズキ ソリオの「圧勝」と言っていいでしょう。

それでも、トヨタというブランド自体の信頼感が高いことや、販売拠点数が多いからなどの理由により、販売台数的にはスズキ ソリオよりもトヨタ ルーミーのほうが上です。具体的には、前述した2021年度上半期(4~9月)の累計販売台数ランキングはスズキ ソリオが18位であるのに対して、トヨタ ルーミーは2位。この期間の販売台数も約4万7000台の開きがあります。

しかしトヨタとスズキとの体力差(知名度や拠点数の違いなど)からすると、本来であればもっと大幅な差が付いてしまってもおかしくなかったというのが現実です。

こうした背景を踏まえても善戦しているのは、現行型スズキ ソリオという小型トールワゴンの実力がユーザーに正しく伝わっている――ということなのでしょう。

スズキ ソリオは「たっぷり積めて、広々と乗れて、そしてしっかりと経済的に走る(小回りも利く)」という、言ってみれば“実用車の鑑”です。一度乗ってみれば、この車がヒットしている理由は、誰でも「あ、なるほど!」という感じですぐにおわかりになるかと存じます……!

執筆者
伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
  • <記事掲載日>2021年11月12日
  • <更新日>2021年11月12日

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