【同クラス人気車対決】「トヨタ アクア」vs「日産 ノート」普段づかいの便利な足として大活躍するコンパクトカー編

大柄でラグジュアリーな高級車に憧れないといえば嘘になりますが、日々の暮らしの相棒として使うには、もっと気軽で、もっとカジュアルな車こそが向いています。

そして「気軽でカジュアルな車」にもいろいろなタイプがありますが、もっとも身近なそれは「コンパクトカー」でしょう。

コンパクトカーというものに明確な定義はありませんが、大体は5ドアか3ドアのハッチバックで、1~1.5Lぐらいのエンジンを載せている小さめな車が「コンパクトカー」であり、人々の“便利な足”として、昔からよく売れ続けているジャンルです。

そんなコンパクトカーのなかでも今特に注目したいのは、ハイブリッド専用コンパクトカーとして大ヒットを記録した「トヨタ アクア」の2代目モデルと、e-POWERと称するハイブリッドシステムが大いに魅力的な「日産 ノート」の最新世代でしょう。

どちらもそれぞれナイスなコンパクトカーであり、それぞれよく売れています。ただ、この2台は似ている部分も多いため、どちらを選べばいいのか、正直迷うところです。

迷った場合、わたしたちはどちらを選べばいいのでしょうか? さまざまな観点から比較してみることにしましょう。

【ラウンド1:どっちが売れている?】発売タイミングの影響もあるが、9月の販売台数はとりあえずアクアが優勢

まずは「今、実際どちらが売れているのか?」というデータを見てみます。

日本自動車販売協会連合会が発表した直近のデータによれば、トヨタ アクアと日産 ノートの販売台数は下記のとおりとなっています。

●2021年9月単月
トヨタ アクア|1万1137台
日産 ノート|6830台

今年9月の販売台数は、トヨタ アクアが登録車全体の2位で、日産 ノートは全体の5位。それゆえ「どちらもよく売れている」とはいえるのですが、とはいえアクアの販売台数はノートの約1.6倍にも上ります。

ただしこれは、「アクアは2021年7月に発売となったため、9月に登録が集中した」という事情も関係している数字です。そのため通常月であれば、両者の販売台数はもう少し接近してくると考えられます。ちなみに最新の10月の状況はアクアが7643台で2位、ノートが5502台で7位でした。

とはいえ現時点においては「どちらもよく売れているが、アクアのほうがより売れている」というのが、ラウンド1の答えになります。

斜め後ろから見たトヨタ アクア。

やや角度は異なるが、同じく斜め後ろから見た場合の日産 ノート。

【ラウンド2:どっちの使い勝手が良い?】カタログ値の差は大きいが、実際の居住性はほぼ同等

お次はボディサイズや車内の広さ、使い勝手などを比較してみましょう。まず、両者のボディサイズは下記のとおりです

●トヨタ アクア|全長4050mm×全幅1695mm×全高1485mm(※4WDは1505mm)
●日産 ノート|全長4045mm×全幅1695mm×全高1505mm(※XとX FOURは1520mm)

もちろん微妙な違いはありますが、車体寸法は「だいたい同じぐらい」といえるでしょう。日常の取り回しにおいてけっこう重要となる「最小回転半径」についてはどうでしょうか?

●トヨタ アクア|5.2m(※Bのみ4.9m)
●日産 ノート|4.9m

アクアの最小回転半径5.2mというのもなかなか優秀ではあるのですが、ノートのほうはさらに小回りが利くようです。

お次、室内寸法はどうでしょう?

●トヨタ アクア|室内長1830mm×室内幅1425mm×室内高1190mm
●日産 ノート|室内長2030mm×室内幅1445mm×室内高1240mm

室内寸法の「数字」は、明らかに日産 ノートのほうが良好という結果に。しかし両者の前席および後席に「実際に座った際の印象」はほぼ同等です。

具体的には、例えば身長175cmの筆者が後席に座ると、ヒザ元の余裕はアクアが約7cmで、ノートが約6cm。そして後席背もたれの角度は両者とも適切であり、頭上スペースの余裕も似たりよったりです。

カタログスペックだけで見ると両者の室内の広さはけっこう違うのですが、実際には「ほぼ互角」と思って間違いありません。どちらも、コンパクトカーとしては非常に良好です。

写真ではそれぞれの広さがややわかりにくいが、「実際に感じる広さ」は、両者ともおおむね同じぐらい良好といえる。

【ラウンド3:走行性能と燃費は?】走行性能はほぼ互角。燃費はトヨタ アクアが若干有利

お次は「走行性能」です。

用意されるパワーユニットは、トヨタ アクアが新世代の1.5Lエンジンにバッテリー&モーターを組み合わせた一般的なハイブリッドシステム(ただし駆動用バッテリーは「バイポーラ型ニッケル水素電池」というのを世界初採用しています)。

それに対して日産 ノートは、日産が「e-POWER」と呼んでいるシリーズハイブリッドです。

シリーズハイブリッドは、搭載されているエンジンは駆動ではなく「発電」だけに使われ、そのエンジンが作った電気によって駆動用モーターを動かして走る――という仕組みです。日産 ノートの場合は1.2L直3ガソリンエンジンとモーターを組み合わせています。

両者ともパワーは十分というか十分以上。トヨタ アクアは「全般的に力強い」といったニュアンスで、エンジンは使わずモーターだけで走る日産 ノートはEV的な「瞬発力に優れる」といったニュアンスです。

パワーユニットに組み合わされる車台も両者とも最新世代であるため、乗り心地は両モデルとも良好です。しかしアクアはノートより車重が100kgほど軽い分だけ、乗り心地はノート以上に良好であるというのが筆者の見解です。

WLTCモード燃費はトヨタ アクアが30.0~35.8km/Lで、日産 ノートが23.8~29.5km/L。カタログ燃費ではなく「実燃費」は、ここまでの差にはならない場合が多いものです。しかしそれでも「燃費は両者とも良好だが、トヨタ アクアは特に良好である」という傾向はあります。

【ラウンド4:どっちが安全?】先進安全装備は両者とも充実しているが、アダプティブクルーズコントロールの扱いに違いが

先進安全装備(運転支援システム)は、両者とも充実しています。トヨタ アクアには「Toyota Safety Sense」が、日産 ノートには「360°セーフティアシスト」がそれぞれ全車標準装備で、いわゆる自動ブレーキや車線逸脱防止支援システムなどの一般的な運転支援システムは、おおむね両者のシステムに含まれています。

差が出るのはアダプティブクルーズコントロール(高速道路で前方の車両を自動的に追従してくれる装置)でしょうか。

もちろん両者ともアダプティブクルーズコントロールは用意されていますが、トヨタ アクアの「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)」が全車標準装備であるのに対し、日産 ノートの「プロパイロット(ナビリンク機能付き)」は最上級グレードでのみ装着できるオプション装備となっているのです。

そのため、「どちらが安全?」という問いに対しては「両者とも同じぐらい安全」というのが答えになりますが、「どちらが高速道路で楽ちん?」という問いがあったなら、「プロパイロットありの日産 ノートについてはトヨタ アクアより優れる」、そして「プロパイロットなしの日産 ノートはトヨタ アクアより若干劣る」というのが答えになるでしょう。

日産 ノートの場合、運転支援システム「プロパイロット」は最上級グレードのみ装着可能なオプション扱い。ただ、大多数のユーザーがプロパイロットの有償装着を選択しているという。

【ラウンド5:どっちがおしゃれ?】異論反論もあるでしょうが、デザインが素敵なのは日産 ノート!

おしゃれか否か。つまり「デザインの良し悪し」に絶対的な正解というのはないため、これは断言するべきではない項目なのかもしれませんが……それでもあえて断言いたします。おしゃれなのは日産 ノートです!

トヨタ アクアの内外装デザインも決して悪くはないのですが、「悪くはない」という範囲内で収まっている造形に思えます。もちろん安心感のあるデザインと言い換えることもできます。

それに対して日産 ノートの外観デザインはなかなか冒険的、インテリアのデザインは「しゃれた家具屋さんが提唱している北欧系モダンリビング」のようで、新しいモノ感があります。

まぁここについては異論反論もあるというか「人それぞれ」の話になりますのでこれ以上は申し上げませんが、なるべく客観的に見たうえで「日産 ノートの勝利」としたいとは思います。

トヨタ アクアの運転席まわり。

こちらは日産 ノートの運転席まわり。

【ラウンド6:どっちがお得?】車両本体価格は日産 ノートのほうが安く見えるが、実際は少々異なる

ある意味いちばん気になる「価格」は、特別仕様車を除いたモデル全体で考えるとトヨタ アクアが198万~259万8000円で、日産 ノートが202万9500~244万5300円です。

しかしモデル全体で比較しても今ひとつピンとこないため、類似するグレード同士で比較してみましょう。

【2WDの最上級グレード】
●トヨタ アクア Z(2WD)|240万円
●日産 ノート X(2WD)|218万6800円

【2WDの中間グレード】
●トヨタ アクア G(2WD)|223万円
●日産 ノート F(2WD)|205万4800円

こうして並べると「ノートのほうが安い!」と感じますが、実際の事情は少々異なります。

トヨタ アクアが「ある程度の装備内容を最初から標準装着する」というスタイルをとっているのに対し、日産 ノートは「ユーザーの好みに応じて必要な装備をオプションとして選んでいく(足していく)」という設定になっています。

その最たる例がプロパイロットです。日産 ノート XまたはX FOURにプロパイロットを付けるには、プロパイロット以外のもろもろが組み合わされた計44万2000円のセットオプションを選ばなくてはならないのです。

またノートはLEDヘッドランプを付けたい場合も計9万9000円のセットオプションを選ぶ必要があります。そのため、上記の数字から一概に「日産 ノートのほうが安い」と言うことはできないのです。

日産 ノートのヘッドランプはハロゲンが標準で、写真のようなカッコイイLEDにしたい場合がオプション装備として追加することになる。

オプション装備の選び方次第で総額は変わるのでなんともいえないのですが、基本的には「トヨタ アクアのほうが若干お安い」ということになるでしょう。ただ、日産 ノートはちょっとお高い分だけ「超おしゃれなインテリア」という美点を備えてはいるのですが。

【判定】性能的にはほぼ互角。燃費がより良好なアクアを選ぶか、それともおしゃれ志向でノートを選ぶか?

以上の検討から判明した事実は、おおむね下記のとおりであると言っていいでしょう。

●使い勝手を含む「性能」はおおむね互角
●燃費は両者とも良好だが、アクアのほうがより良好
●価格は、総額で考えるとアクアの買い得感が光る
●ただしノートからは、アクア以上の「おしゃれ感」が感じられる。

最終結論としては、「燃費性能」を重視したいならトヨタ アクアがおすすめで、「おしゃれなコンパクトカーが欲しい」という場合には日産 ノートがおすすめ――ということになります。

ただし「両者ともに最新世代の設計にもとづく、何かと具合のよろしいコンパクトカーである」ということだけは、最後に付け加えたいと思います。

執筆者
伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
  • <記事掲載日>2022年1月4日
  • <更新日>2022年1月4日

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