【人気車ヒットの理由】6タイプ合わせて依然トップクラスの売れ行きを誇る 「トヨタ カローラシリーズ」

ジャンルを問わず「人気商品」には、人気を博すだけの理由=良いところが必ずあるものです。そしてそれは車においても同様で、大ヒットしている車にはほぼ必ず、ヒットするだけの理由=美点があります。

このコーナーでは「今、かなり売れてる車」をピックアップし、その売れてる理由を明らかにしてまいります。

第10回となる今回は、1966年に登場して以来、なんだかんだで圧倒的に売れ続けている「トヨタ カローラ」の現行モデルの魅力に迫ります。

現在の「カローラ」は4ドアセダンだけではない

消費者ニーズの細分化により、さすがのカローラ人気も2000年代あたりには若干ながら低迷しました。しかし2018年に登場した現行型のカローラはなかなかのスマッシュヒットに。具体的には、直近2022年3月の販売台数は1位のトヨタ ヤリス(1万7442台)に僅差で続く2位(1万7258台)であり、2021年の年間販売台数も全体の3位となりました。

とはいえ、現在の販売台数データにおける「カローラ」の数字は、セダンのものだけでなく「カローラ シリーズ」全体の販売台数を合算したものです。

その昔は、カローラといえば小ぶりな4ドアセダンのみを指しました。しかし現在は、さまざまなボディタイプが「カローラシリーズ」というものを構成しているのです。

そんな最新世代の「カローラシリーズ」は、果たしてどんなモデル/ボディタイプで構成されているのか? あらためておさらいしてみることにしましょう。

最新の車台&デザインに生まれ変わった「カローラ セダン」

現行型カローラシリーズの“基本形”といえるのが、2019年9月に登場した4ドアセダン「カローラ」です。

現行型カローラシリーズの基本形である「カローラ」

日本仕様のボディサイズは全長4495mm×全幅1745m×全高1435mmですが、海外市場向けのカローラは、これよりも少し大きめのサイズとなっています。

しかしプラットフォーム(車台)は全世界共通の「GA-C」という最新世代のもので、走行安定性と乗り心地の良さを両立できる優れもの。そこに搭載されるパワーユニットは、最高出力140psの自然吸気1.8L直4ガソリンエンジンと、同116psの1.2L直4直噴ガソリンターボエンジン、そして同98psの1.8Lガソリンエンジンに72psのモーターを組み合わせたハイブリッドシステムの3種類。WLTCモード燃費は1.8Lモデルが14.6km/Lで、1.2Lターボが15.8km/L、ハイブリッドのFF車は25.6~29.0km/Lです。

カローラセダンは、全部で6種類のモデルが存在するカローラシリーズのなかではトップクラスの販売実績を記録しているわけではありません。しかし「扱いやすいサイズの4ドアセダンで、なおかつ最新世代の車台と各種安全装備などを採用している」という意味で、現在の国産車のなかでは非常にレアな存在です。それゆえ、「小さめなセダン」を求める層の心をしっかりつかんでいるのです。

「カローラ スポーツ」は俊足5ドアハッチバック

現行カローラシリーズの基本形はカローラ(4ドアセダン)ですが、一番最初に発売されたのは、こちら「カローラ スポーツ」でした。

5ドアハッチバックの「カローラ スポーツ」


カローラ スポーツはいわゆる5ドアハッチバックで、セダンのようなトランクルームは持っていません。その代わり、扱いやすいハッチゲート/荷室と、全長がセダンより短くなることによる「取り回し性能の良さ」と「軽快な走り」が魅力となります。なおセダンやツーリングと異なり、全幅がグローバルサイズで少々大きめですが、最小回転半径はほぼ同じです。

具体的なボディサイズは全長4375mm×全幅1790mm×全高1460mmで、パワーユニットは「1.2Lガソリンターボ」と「1.8Lガソリン+モーターのハイブリッド」の2種類。セダンには用意される最高出力98psの1.8L自然吸気エンジンは、スポーティな立ち位置となるカローラ スポーツには用意されません。

5ドアハッチバックであるカローラ スポーツの魅力は、前述した「取り回し性能の良さ」と「軽快な走り」もそうですが、それに加えて「低重心でワイドなスポーティフォルムである」という部分も大きな魅力となります。

それゆえ、カローラシリーズが気になる人のなかでも「スポーティな雰囲気と走りを楽しみたい」と考える人には、このカローラ スポーツこそがおすすめとなるでしょう。

シリーズ一番の売れ筋ステーションワゴン「カローラ ツーリング」

現行カローラシリーズのなかで特によく売れているのが、ステーションワゴンである「カローラ ツーリング」です。

カローラシリーズのなかでは一番の売れ筋といえる「カローラ ツーリング」

車台は他の現行カローラシリーズと同じ新世代の「GA-C」で、ボディサイズも全長と全幅は現行型4ドアセダンと同じですが、全高だけはセダンより25mm高い1460mmとなっています。

搭載されるパワーユニットはセダンと同一で、最高出力140psの自然吸気1.8L直4ガソリンエンジンと、同116psの1.2L直4直噴ガソリンターボエンジン、そして同98psの1.8Lガソリンエンジンに72psのモーターを組み合わせたハイブリッドシステムという3種類。ちなみにWLTCモード燃費もセダンと同一です。

現行カローラシリーズ全体に通じる「スポーティなビジュアルと乗り味」を維持しながら、扱いやすくて使いでのあるラゲッジルーム(積載量は通常時329Lで、最大802Lまで拡大可能)も用意されているのがカローラ ツーリングの大きな魅力。また「比較的小ぶりなサイズのステーションワゴンである」という点も、近年の国産車としては唯一無二といえる個性です。

「カローラ クロス」はカローラ初のSUVとして大ヒットを記録

カローラ クロスは、50年以上の歴史を持つカローラシリーズのなかで初の「SUV」として、2021年9月に発売された派生モデル。ボディサイズは全長4490mm×全幅1825mm×全高1620mmと、カローラシリーズのなかでは唯一の全幅1800mm超ですが、ホイールベース(前後の車軸間の距離)は他モデルと同じ2640mmです。

シリーズ初のSUVとなった「カローラ クロス」

世の中全体のSUV人気もあって、発売直後から非常によく売れているカローラ クロスの荷室容量は5人乗車時で487Lと、なかなかのもの(※数値は仕様・装備によっては若干異なります)。そして荷室開口部の下端は地面から720mmmと低めに設定されていて、つま先をバンパー下に出し入れするだけでバックドアの開閉ができる機能も、一部グレードに用意されています。さらに専用設計の「ラゲージアクティブボックス」を使えば、荷物を車外から見えない状態で収納することができるなど、より多彩な荷室アレンジが可能になります。

パワーユニットは、最高出力140psの1.8L直4ガソリンエンジンと、1.8Lエンジンをベースとするハイブリッドの2タイプ。ガソリンエンジン車の駆動方式はFFのみですが、ハイブリッドには7.2psの独立式リアモーターで後輪を駆動する4WD車も設定。WLTCモード燃費はガソリン車が14.4km/Lで、ハイブリッド車は26.2km/Lです。

コンパクトSUVであるカローラ クロスの魅力は、まずなんといっても「今流行りのSUVである」という点と、最低地上高が高めであるため、段差や車輪止めなどの存在をあまり気にしないで走ることができるということ。そして同じコンパクトSUVでもトヨタ ライズなどと比べて後席も荷室も広めであるため、「日常の使い勝手が何かと良好である」という点です。

比較的安価な予算で「新世代のSUV」が欲しいという人にはうってつけの存在であり、ヒットしている理由もよくわかる一台だと言えます。

旧型5ナンバーセダン「カローラ アクシオ」も継続販売中

ここまで紹介した「カローラ(セダン)」「スポーツ」「ツーリング」「クロス」という最新のプラットフォームを使っているモデルのほかに、トヨタは旧世代カローラの一部も継続販売しています。

そのなかのひとつが、1世代前のカローラセダンである「カローラ アクシオ」です。

主にビジネスニーズに応える意味で旧世代のセダンが継続販売されているのが「カローラ アクシオ」

カローラ アクシオは、2012年5月に登場した11代目のカローラ。プラットフォームは当時のトヨタ ヴィッツと同系統のもので、ボディサイズは全長4400mm×全幅1695mm×全高1460mm。つまり現行カローラセダンと比べて約10cm短く、幅は5cm狭いという完全な「5ナンバーサイズ」であり、この点こそが、旧世代であるカローラ アクシオが今も継続販売されている理由です。

現行型カローラもそれなりにコンパクトな車ではあります。しかし全長4495mm×全幅1745mmの3ナンバーサイズになったことで、「我が家の駐車場にはどうしても入らない」「狭い場所での取り回しが難しくなった」と感じるユーザーも、少数ですが存在します。また法人の営業車として使う場合にも、よりコンパクトであるほうが何かと都合が良いケースは多いものです。

そのためトヨタは「5ナンバーサイズのセダン」を求めるユーザーに向け、今もカローラ アクシオの一部グレードを継続販売しているのです。

現在販売されているカローラ アクシオのパワーユニットは、最高出力103または108psの1.5L直4ガソリン自然吸気と、1.5Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステム。ガソリン車にはMT(マニュアルトランスミッション)の設定もあります。直近では2021年9月に一部改良を行い、先進安全装備の内容を進化させています。

今や希少な「5ナンバーセダン」が欲しいと考えるのであれば、旧世代であるカローラアクシオにも注目する価値はあるといいますか、むしろ「唯一無二の存在」として、大注目するべきかもしれません。

「カローラ フィールダー」も旧世代の5ナンバーステーションワゴン

もう一つ継続販売されている旧世代のカローラシリーズが「カローラ フィールダー」です。

今や希少な5ナンバーサイズのステーションワゴンとして、一部でいまだ需要のある「カローラ フィールダー」

新世代プラットフォームに生まれ変わった「カローラ ツーリング」は全長4495mm×全幅1745m×全高1460mmという3ナンバーサイズですが、2012年5月から販売され続けているフィールダーのほうは全長4400mm×全幅1695m×全高1475mmという小ぶりな5ナンバーサイズ。そこに、カローラ アクシオと同じ最高出力103または108psの1.5L直4ガソリン自然吸気と、1.5Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムを組み合わせています。こちらもガソリン車にはMT(マニュアルトランスミッション)の設定もあります。

すべてが刷新された「カローラ ツーリング」のほうが、当然ながら走行性能もユーティリティ性能は高く、またデザインもシュッとしていてカッコいいといえるでしょう。しかし、さまざまな事情や嗜好により「自分は絶対に5ナンバーサイズのほうががいい」と考えるステーションワゴンユーザーも、それなりに多いはず。そういった方であれば、あえて旧世代のカローラ フィールダーを選ぶ価値は大いにあります。

執筆者
伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
  • <記事掲載日>2022年6月10日
  • <更新日>2022年6月10日

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