【同クラス人気車対決】「ホンダ N-BOX」vs「ダイハツ タント」大人気の軽自動車スーパーハイトワゴン編

今、軽自動車のなかでもっとも人気が高いカテゴリーは「スーパーハイトワゴン」と呼ばれる、背が高くてスペース効率に優れるタイプ。

なかでも圧倒的な人気を誇っているのが「ホンダ N-BOX」で、その長年のライバルにあたる存在が「ダイハツ タント」です。

販売台数ランキングではホンダ N-BOXが長い間ナンバーワンの座を占めていて、ダイハツ タントのほうは2位または3位といったところですが、両者の「実力」はかなり伯仲しているといえます。

結局のところ、これから軽スーパーハイトワゴンを狙う場合はN-BOXとタントのどちらを選ぶべきなのでしょうか? さまざまな観点から比較してみることにしましょう!

【ラウンド1:どっちが売れている?】王者N-BOXと、それに挑むタントという図式

現在販売されているホンダ N-BOXは2017年9月に登場した2代目のモデルで、2019年10月に予防安全装備の性能を向上させ、2020年12月には内外装デザインをブラッシュアップするマイナーチェンジが行われました。

一方のダイハツ タントは今や4代目となるロングセラーモデルで、現行型は2019年7月に発売されています。

そんな両者の「現在の販売台数ランキング」をまずは見てみましょう。

全国軽自動車協会連合会が集計しているデータによれば、2020年度の販売台数はやはりホンダ N-BOXが軽乗用車のナンバーワンで、ダイハツ タントは第3位。そして直近のデータである2021年5月もナンバーワンはホンダ N-BOXで、ダイハツ タントはやはり3位でした。「王者N-BOXと、それに挑むタント」という図式は変わっていないようです。

【ラウンド2:どっちが広い?】室内は数値だけ見るとN-BOX優位、しかしタントには「ミラクル」がある!

お次はボディサイズと室内寸法です。

軽自動車は「軽自動車規格」というものに縛られながら開発されていますので、両者のボディサイズにさほど大きな差はありません。

ホンダ N-BOX ダイハツ タント
全長 3395mm 3395mm
全幅 1475mm 1475mm
全高 1790mm 1755mm
ホイールベース 2520mm 2460mm
室内長 2240mm 2180mm
室内幅 1350mm 1350mm
室内高 1400mm 1370mm

とはいえ全高(車の高さ)は、王者N-BOXのほうがタントより35mm高い作りになっています。その関係で室内も、高さについてはN-BOXのほうが30mmほど有利です。
また室内の高さだけでなく室内の長さも、N-BOXのほうがタントより60mm長くなっています。これはN-BOXのほうがホイールベース(前輪と後輪との距離)が60mm長い分、そのまま室内長の差になっているわけです。

水平基調のN-BOXのインパネは最近のホンダ車らしいデザイン

室内長の長さはクラス随一のN-BOX

センターメーターの名残を感じるタントのインパネ

元祖スーパーハイトワゴンのタントは数値以外に広さの秘密が

そうなりますと、室内スペースはN-BOXのほうが「長くて高い」ということになりますので、「じゃあホンダ N-BOXの勝ちだ!」とも思うわけですが、実はそう簡単な話でもありません。

ダイハツ タントには「ミラクルオープンドア」および「ミラクルウォークスルーパッケージ」という独自の魅力があるからです。

普通、車のフロントドアを後部ドアの間には「Bピラー」という柱があるのですが、ダイハツ タントは車体左側のその柱をなくしたことで(正確には、前後ドアの内部にBピラーを埋め込んだため)、車体左側の開口部が並外れて広くなっているのです。これが「ミラクルオープンドア」です。

それに加えて運転席が前後に540mm、助手席が380mmスライドしますので、運転席から後席などへきわめてスムーズにアクセスできます。これが「ミラクルウォークスルーパッケージ」です。

もちろんホンダ N-BOXのほうも助手席を570mmスライドできる「助手席スーパースライドシート」が一部グレードに設定されていますし、そもそも室内高と室内長はタント以上ということで、このあたりの使い勝手は「両者ほぼ互角」だといえるでしょう。

【ラウンド3:どっちが速くて好燃費?】似たり寄ったり、普通に使うには誤差の範囲

お次はエンジンと燃費を比較してみます。

どちらもターボ付きエンジンとノンターボエンジンの双方を用意していますが、まずはベーシックなノンターボエンジンから見てみましょう。それぞれの数値は下記のとおりです。

ホンダ N-BOX
エンジン型式:直列3気筒DOHC
排気量:658cc
最高出力:58ps/7300rpm
最大トルク:6.6kgm/4800rpm
燃費(WLTCモード、FF車):21.2km/L

ダイハツ タント
エンジン型式:直列3気筒DOHC
排気量:658cc
最高出力:52ps/6900rpm
最大トルク:6.1kgm/3600rpm
燃費(WLTCモード、FF車):20.0~21.2km/L


力強さと燃費は、どちらもだいたい同じようなものではありますが、ホンダ N-BOXのほうが数値上は若干パワフル&トルクフル。要するに「若干力強い」ということです。

しかしN-BOXはいちばん力が出る回転数が高く、逆にタントは、N-BOXよりも低い回転域で最大の力が出ます。

そのため、活発に走る場合はホンダ N-BOXのほうが有利ですが、市街地などで普通に走らせる場合は、低めの回転域で力が出るダイハツ タントのほうがやや有利です。

しかしながら、これは「誤差の範囲」ともいえるぐらいの差ですので、あまり気にする必要はないでしょう。どちらも、ノンターボの軽自動車用エンジンとしては普通ぐらいにパワフルです。

一方のターボ付きエンジンのスペックは下記のとおりとなっています。

ホンダ N-BOX
エンジン型式:直列3気筒DOHC
排気量:658cc
最高出力:64ps/6000rpm
最大トルク:10.6kgm/2600rpm
燃費(WLTCモード、FF車):20.2km/L

ダイハツ タント
エンジン型式:直列3気筒DOHC
排気量:658cc
最高出力:64ps/6400rpm
最大トルク:10.2kgm/3600rpm
燃費(WLTCモード、FF車):20.0km/L

力強さと燃費性能はほぼ互角ですが、ノンパワーエンジンのときと違ってターボ付きエンジンでは「ホンダ N-BOXのほうが低い回転域で大きな力が出る」という数字になっています。

しかしこの程度の差は、普通に使う分には「誤差の範囲」ですので、これまたあまり気にする必要はありません。

【ラウンド4:どっちが安全?】売れ筋グレード同士だと高速道路での運転支援はN-BOXが勝る

次は「先進安全装備」の違いについて見てみましょう。

ホンダ N-BOXには「ホンダセンシング」という先進安全装備のパッケージが全車に標準装備され、ダイハツ タントには「スマートアシスト」というパッケージが、「L(スマートアシスト非装着車)」というやや特殊なグレード以外の全車に標準装備されています。

そこに関する両者の性能はほぼ互角ですが、それぞれの売れ筋グレードである「ホンダ N-BOX G」と「ダイハツ タント X」で比べてみると、タント Xには、N-BOX Gでは標準装備される下記の先進安全装備が付いておらず、オプションとして選択することもできない設定になっています。

●アダプティブ・クルーズ・コントロール(前方の車両を追従して自動的に速度と車間距離を調整してくれるシステム)
●レーンキープコントロール(車線を維持するよう支援してくれるシステム)

この2つの先進安全装備は主に高速道路で使われ、重宝するものです。そのため、高速道路を走る機会が多い人にとっては「ホンダ N-BOXのほうがいい!」ということになるでしょう。

とはいえ「軽自動車で高速道路を走る機会は少ない」という人も多いはず。そういった人であれば、これらが付かないダイハツ タント Xであっても何ら問題ないとはいえます。

【ラウンド5:どっちがお得?】売れ筋グレードはN-BOXに割安感、しかし欲しい装備によってはタントが安く感じる場合も

最後に、いちばん気になる「価格」を比べてみましょう。

といっても、全グレードの価格を比べていくときりがないので、とりあえず前出の売れ筋グレード同士で比較してみることにします。

●ホンダ N-BOX G(FF)|142万8900円
●ダイハツ タント X(FF)|149万500円

車両本体価格は(このグレードで比較した場合)タントのほうが約6万円高いということになります。

しかしタント Xは前述のとおり運転席が前後に540mm、助手席が380mmスライドでき、また後席左側ドアはパワースライド式であるのに対し、N-BOX Gには「助手席スーパースライドシート」は付いていませんし、後席左側のパワースライドドアも付いていません(オプションとして付けることもできません)。

そしてホンダ N-BOXに「助手席スーパースライドシート」を付けるためには「EX」というグレードを選ばねばならず、そちらはその他の装備も充実しているため、車両本体価格は165万8800円と、なかなかのお値段になります。

これらの事情というか設定の違いから考えると、ホンダ N-BOXとダイハツ タントはどちらが高いとか安いとかと、一概に言うことはできません。ユーザーそれぞれの生活が求める装備をまずは確認し、それが装着されているグレード同士で、あらためて価格を比較してみるしかないのです。

【判定】総合力はN-BOX、子育て世代ならタント

以上のとおり、ホンダ N-BOXとダイハツ タントの諸性能は「ほぼ互角だが、ところどころに一長一短というか、それぞれの得手不得手がある」ということがわかりました。

それゆえ、「どちらが優れているか?」という問いに対する答えは「それぞれのライフスタイルによりけりでしょう」というものにしかなりません。

しかし、あえて無理やり答えを出すとすれば、

●軽スーパーハイトワゴンとしての総合力を求めるならホンダ N-BOX
●子育てなどにおける使い勝手(乗降性の良さなど)を特に重視したいならダイハツ タント

ということになるかと思います。

執筆者
伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
  • <記事掲載日>2021年7月1日
  • <更新日>2021年7月1日

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