【同クラス人気車対決】「スズキ アルト」vs「ダイハツ ミライース」人々の“足”として大活躍するベーシック軽自動車編

今、軽自動車のなかでもっとも人気が高いカテゴリーは「スーパーハイトワゴン」と呼ばれる、非常に背が高くてスペース効率に優れるタイプです。

しかし、それら軽スーパーハイトワゴンは「新車価格が(軽としては)ちょっと高い」という難点があり、また「あそこまで背が高くなくてもいい」「スライドドアは不要」と考えるユーザーも、世の中にはたくさんいます。

そういった意味で、スーパーハイトワゴンに次ぐぐらいの人気を集めているのが「ごく普通のベーシックな軽自動車」というカテゴリーです。

特に背が高いわけではない軽ハッチバックのことを、自動車業界では「軽セダン」と呼ぶことが多いのですが、ハッチバックなのにセダンって呼び方、ちょっと違和感がありますよね? そのため、このコーナーでは軽セダンのことを「ベーシック軽自動車」と呼ぶことにします。

で、ベーシック軽自動車というカテゴリーのなかで人気を二分しているのが「スズキ アルト」と「ダイハツ ミライース」です。

どちらも実用性と経済性に優れる「素晴らしいベーシック軽自動車」であることは間違いないのですが、我々ユーザーは、もしも手に入れるとしたら両方ではなく「どちらか一台」に限定せざるを得ません。

その場合、わたしたちはどちらを選べばいいのでしょうか? さまざまな観点から比較してみることにしましょう。

【ラウンド1:どっちが売れている?】微差はあれど、おおむねイーブン

まずは「今、実際どちらが売れているのか?」というデータを見てみます。

全国軽自動車協会連合会が発表した直近のデータによれば、スズキ アルトとダイハツ ミライースの販売台数は下記のとおりとなっています。

●2021年1~5月累計
スズキ アルト|3万6359台
ダイハツ ミラ|3万6159台

●2021年5月単月
スズキ アルト|4670台
ダイハツ ミラ|5419台

今年の6月単月はダイハツ ミラがやや優勢ですが、5月は逆にスズキ アルトが勝っていました。1~6月の累計台数はたった200台の差に過ぎず「おおむね同じぐらい」といった感じでしょうか。実力伯仲の両モデルだけあって、さもありなんという数字になっています。

ちなみに、スズキ アルトの数字には派生モデル「アルト ラパン」「アルトワークス」の台数も入っていて、ダイハツ ミラの数字にも「ミラ トコット」の台数が入っていますので、上記の数字は「完全に正確」というわけではありません。が、「おおむね伯仲している」という傾向は見て取ることができます。

スズキ アルトの運転席まわり。速度計はオーソドックスなアナログ式を採用。

こちらはダイハツ ミライースの運転席まわり。視認性の高いデジタル式速度計が採用されている。

【ラウンド2:どっちが広い?】広さはほぼ同じだが、後席の快適性はアルトが若干上か

お次はボディサイズや車内の広さ、使い勝手などを比較してみましょう。

といってもボディサイズは両者ともほぼ同じで、全長と全幅はどちらも3395mm×1475mmという軽規格いっぱい。全高もアルトが1475mmのミライースが1500mmですので、ほんの少々違うぐらいでしかありません。

フロントシートの形状や前席まわりの広さも、両者は「だいたい同じ」といえますが、後席に関しては少しだけ異なってきます。

後席まわりの広さは両者とも同じぐらいですが(身長175cmの人間が座ってもひざ元はコブシ2つ分ほどの余裕があり、頭上も決して窮屈ではありません)、ミライースの後席シートはかなり硬めで、座ってもお尻が沈み込みません。しかしアルトのほうはお尻がスッと沈み込むような作りですので、後席の快適性については「スズキ アルトのほうが若干上」といえるでしょう。

荷室の広さや使い勝手の良し悪しは、どちらもほぼ同等です。

スズキ アルトの車内。ベーシックな軽自動車ゆえ高級感みたいなものはないが、後席の座り心地はまずまず。

こちらはダイハツ ミライースの車内。空間の広さはアルトとほぼ同等だが、後席の座面はやや硬め。

【ラウンド3:走行性能と燃費は?】カタログ上の微差はあるが、実際は「ほぼ互角」

お次は「走行性能」です。

搭載エンジンはスズキ アルトが最高出力52psの直3ガソリンで、ダイハツ ミライースが同49psの同じく直3ガソリン。両者は車両重量もだいたい同じぐらいですので、いわゆる力感はおおむね互角です。ただ、実用回転域での力強さは、ほんの少しですがスズキ アルトのほうが上かもしれません。

では「燃費」はどうかというと……ここに関しても両者はほぼ互角です。

WLTCモードという、実際の走行状態に近い状態でのカタログ燃費を比較してみますと、スズキ アルトの2WD車が24.8~25.8km/Lで、ダイハツ ミライースの2WD車が25.0km/L。要するに「だいたい同じ」であり、「どちらの燃費も良好である」ということです。

【ラウンド4:どっちが安全?】遅れを取っていたアルトだが、’18年12月のマイナーチェンジで同等レベルまで挽回

【ラウンド4:どっちが安全?】遅れを取っていたアルトだが、’18年12月のマイナーチェンジで同等レベルまで挽回

ここまで、すべての項目で「両者はほぼ互角」という結果ばかりになってしまったため、読んでいる人も退屈してきたかもしれません。が、まだまだ「ほぼ互角の勝負」は続きます。お次は「安全装備」です。

ダイハツ ミライースのデビューが2017年5月であるのに対し、スズキ アルトのデビューは2014年12月ですので、安全装備に関しては正直、スズキ アルトは見劣りする部分がありました。

しかしアルトは2018年12月にマイナーチェンジを行い、衝突被害軽減ブレーキの性能をグッと上げてきました。具体的には、古いタイプだった「レーダーブレーキサポート」から「デュアルセンサーブレーキサポート」に変わり、

●前方にいる車だけでなく歩行者も認識して作動
●バック時に障害物を認識する「後退時ブレーキサポート」を採用
●車線のはみ出しを防止する「車線逸脱警報機能」を採用
●眠気などによるふらつきを予防する「ふらつき警報機能」を採用
●対向車や周囲の明るさを検知してヘッドライトのハイとローを自動的に切り替える「オートハイビーム」も搭載

と内容を一新させ、ダイハツ ミライースが搭載している「スマートアシストIII」と比べてほぼ同等のレベルに進化したのです。そのため、両者の性能はこの部分でも「おおむね互角」ということになります。

【ラウンド5:どっちがお得?】なんと、両者は価格も「だいたい同じぐらい」だった!

すべての検討項目において「おおむね互角」という両者ですので、あとはもう「デザイン」と「価格」で優劣を決めるしかないのかもしれません。

デザインについての感じ方は人それぞれですので、とりあえず下記の写真をご覧いただき、各自でお考えいただければと思います。

やや独特なフロントマスクを採用しているスズキ アルト

こちらはダイハツ ミライース。スズキ アルトと比べるとオーソドックスな方向性といえる。

肝心の「価格」はどうなっているのでしょうか?

……実はこちらに関しても、スズキ アルトとダイハツ ミライースは「だいたい同じぐらい」なのです。

「先進安全装備は付いているが、比較的安価なグレード」同士で比べると、下記のとおりとなります。

●スズキ アルト L スズキ セーフティ サポート装着車(2WD)|91万8500円
●ダイハツ ミライース L “SA III”(2WD)|95万9200円

また、「先進安全装備は当然付いていて、その他装備もまずまず充実しているグレード」同士で比べると、下記のようになります。

●スズキ アルト S(2WD)|109万7800円
●ダイハツ ミライース X “SA III”(2WD)|110万2200円

上記の価格はそれぞれ微妙に違うわけですが、実際に購入する際にはオプション装備の選び方や値引き額の大小によって総額が変わりますので、基本的には「そもそもの価格はだいたい同じ」ということになります。

【判定】すべての面でおおむね互角ゆえ、「直感と好み」で決めるのが結局はいちばん

以上のとおり、スズキ アルトとダイハツ ミライースの諸性能および価格は「ほぼ同等」ということがわかりました。

アルトの安全装備が改善される前は、主に街なかでの安全性という面でミライースが若干有利だったのですが、2018年の暮れにアルトの安全装備が進化したことで、両者の差はほとんどなくなってしまったのです。

こうなってくるともう「デザインやブランドの好みで決めるしかない」ということになってくるわけですが、ひとつだけ決定的な違いがあるとすれば、「スズキ アルトはそろそろフルモデルチェンジされる時期が近づいてきている」ということです。

スズキからの正式な発表はまだ何もありませんが、2014年12月にデビューした現行型のスズキ アルトは、普通に考えて2021年の暮れか2022年中には、フルモデルチェンジが行われるかもしれません。

そうなると、現行型のアルトは「型遅れ」ということになりますので、乗っていて気分がやや盛り下がるかもしれませんし、リセール価格も若干ながら下がるはず。

そういった意味で、「ダイハツ ミライースのほうが若干有利である」とはいえるでしょう。

しかし、それでもやっぱり両者の差はきわめて小さいのは確かです。

そのため、「ミライースのほうが若干おトクである可能性は高いが、基本的には『カタチや雰囲気が気に入ったほう』を買えばいい」というのが本当の結論であり、シアワセへの近道だといえるでしょう。

執筆者
伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
  • <記事掲載日>2021年8月1日
  • <更新日>2021年11月12日

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