【プロが選ぶ今おすすめの一台】クラウンから乗り替えても問題なし。トヨタ アクアの居住性には絶対の“商品力”がある!(MJブロンディ)

このコラムを読まれている方は、車選びを楽しんでいるか、あるいは悩んでいるかのどちらかだろう。そして、リースという形を検討している方は「コストにシビア」ではないだろうか。これは私の単なる推測だが、仮に私がクルマをリースするとしたら、月々の支払額には非常に敏感になる予感がする。

かく言う私は、これまでリースはおろか、カーローンを組んだことさえ1回しかない。それは「手元にキャッシュフローがあれば、一括払いのほうがおトクに感じるから」。一括払いというのは一瞬で完了するので、その後はもう車両本体についてのコストは忘れてしまえる。のど元過ぎればなんとやらで、コストを度外視できるのだ。だからこそ私は、フェラーリやランボルギーニを多数乗り継ぐという暴挙を続けていられるのでしょう。

一方、リースはそうは行かない。数年間、毎月支払いが生じるのだから、その間は毎月コストを意識する。自分だったら「絶対にムダはできない……」と強く思う予感がする。つまり、一括払いよりもリースのほうが真剣に向き合う分ムダが少なく、結果的には安上がりなのかもしれない。

最近の車はデザインと居住性だけで選んじゃってもOK!

というわけで、車のリースを検討している方はコストに敏感で当然だと推測するが、それについてはこのサイトでパリッと算出できるので、なんの問題もないだろう。

その他の要素についてはどうかというと、人それぞれ、重視するポイントはさまざまだ。

車には燃費、デザイン、居住性、乗り心地、加速性、コーナリング性など、さまざまな要素がある。そういったさまざまな要素を考えてクルマを選ぶのは、車好きにとっては至福の時間だが、車にあまり興味がない方にとっては苦痛かもしれない。

車は家の次に高い買い物だ。慎重になるのは当然で、そこに悩みも生まれる。悩むのはストレスだし、もしも失敗したらどうしようと心配にもなる。

それに関して、これまで自家用車を50台以上買ってきた車購入のプロとしてアドバイスすれば、「一般ユーザーのみなさんは、カッコと居住性だけでクルマを選んでしまって、だいたい大丈夫ですよ」となる。

デザインと居住性「だけ」で選ぶ? ……それで本当に大丈夫なのか?

なぜならば、燃費や乗り心地や加速やコーナリングなどの性能は、今やどんな車もまず問題はないからだ。かつては「間違いだらけの車選び」が存在したが、今はどれもこれもいい車ばかりなので、間違えたくても間違えられないのだ。

燃費は車選びの重要なポイントだが、年間走行距離が1万km以上ならともかく、5000km以下だったりする場合は、カタログ燃費が2倍良くても燃料代の年間差は2~3万円程度にしかならない。自動ブレーキなどの安全装備に関しても、現在はほとんどの車が標準で付いているし、同レベルの予算で飛び抜けて優れている車もない。

だから、残るはカッコと居住性だけなのだ。

居住性とは「家」のようなもの。一度買ったらそう簡単には変えられない

カッコは人間で言えば容姿。せっかく高いお金を出して買うのだから、気に入った容姿のクルマを手に入れたいのは当然だ。

しかし中には「車の容姿には興味がない」という人もいる。私も、冷蔵庫や洗濯機の容姿にはあまり興味がない。白物家電の見た目で重要なのは色だけ。部屋に合う色にはしたいと思うが、洗濯機の場合、リビングに置くわけではないので、それもない。

しかし居住性は、そうは行かない。

冷蔵庫や洗濯機でも容量は最大のポイントだが、車の広さや使い勝手も、極めて重要な要素。車にまったく興味のない方にとっても、それは同様だ。

昨年私の親戚が、トヨタ クラウンからトヨタ ヤリスに乗り替えた。夫婦ともに60歳を超え、もうそんなに大きい車はいらないということで、ダウンサイジングに踏み切った。それにしてもクラウンからヤリスというのはかなり極端な例である。思い切ったものだ。

彼らは車に興味がないタイプで、ただトヨタのディーラーに行き、間もなくヤリスという新しい小型車が出ると聞いて、実車も見ずに「それにしよう」と決めたという。

こちらがトヨタ ヤリスの居住スペース。確かに後席はかなり狭めだ。

が、実際にヤリスが納車になってみたら、その積載性能の低さに驚いた。彼ら夫婦には老母と愛犬がいるのだが、ヤリスでは、みんな揃って一泊旅行に行くのさえ不可能であることに気づいた。

「さすがに小さすぎたかな」

そう後悔しても、買ってしまったら後の祭りだ。まぁ、買ってしまえばあきらめがつくし、それなりのライフスタイルに変化するものだから、それはそれでいいとも思う。だが、そうも行かない場合は最悪買い替える必要が出てくる。それだけは避けたい。

私は親戚の話を聞いて、「せめてアクアにしておけば……」と思った。

トヨタ アクアの居住性・積載性は大型セダンにも匹敵

昨年の段階ではまだトヨタ アクアは旧型が継続販売されていたので選択肢に上らなかったようだが、買い替えがあと1年遅かったら、新型アクアを選ぶことができただろうに。アクアならヤリスよりかなり居住性に余裕があるので、ギリギリ3人+犬と荷物を積んで、一泊旅行に行くことができたはずだ。

こちらが2021年7月に発売された新型トヨタ アクア。

新型アクアの居住スペース。同じ車台を使っているトヨタ ヤリスと比べて、後席の膝元や頭上スペースは圧倒的なまでに広い。

運転席まわりのデザインも「大人向け」といえる落ち着いたニュアンス。

トヨタ アクアの居住性は、室内空間もトランク容量も、大型セダンであるクラウンとそれほどの差はない。近年のコンパクトカーは、クラウンのような後輪駆動のセダンに比べるとスペース効率が圧倒的に高いので、ボディサイズはぜんぜん違っても、居住性は似たようなものなのだ。

クラウン(ハイブリッドモデル)のトランク容量は405L。ハイブリッド用バッテリーがあるため、大型セダンとしてはそれほど大容量ではない。後席も、フロア中央にドライブシャフトが通る出っ張りがあるため、それほどゆったりはしておらず、適度な余裕がある程度である。広々感なら、ホンダ N-BOXなどの軽ハイトワゴンのほうが、天井が高い分だけはるかに上。コンパクトハッチバックは、軽ハイトワゴンより天井が低いのでそれより劣るが、クラウンとはおおむねイーブンだ。

しかしヤリスは、デザインや車体の軽さ(≒走りの軽快さ)を優先した設計のため、思い切って室内空間を切り詰めている。だから後席はかなり狭いし、トランク容量も174Lしかない。これは国産コンパクトカーの中でもっとも小さい。ヤリスの1クラス下のパッソが193Lだから、それよりも狭いのだ。これでは大人3人+犬で一泊旅行に出るには、ヨーロッパのバカンスのように、屋根の上に荷物を載せるしかない。

一方新型トヨタ アクアのトランク容量は278L。クラウンには及ばないものの、ヤリスのようにクラウンの半分以下ではなく、7割程度の容量はある。アクアならギリギリ、大人3人+犬+荷物の積載が可能だろう。

新型アクアのラゲッジスペース。奥行きが十分あるだけでなく、荷物の出し入れがしやすいよう、開口幅もしっかり確保されている。

アクアは先代も良かったが、新型はさらにいい。「間違いない選択肢」だ!

実は私は、先代アクアのオーナーだった。当時はクルマ好きとして、燃費性能の探求に燃えていたので、その他の要素をすべて捨ててアクアを買ったのだが、これが実に優れた実用車だった。

一見室内もトランクも広そうではないのだが、実際に乗ると、どっちも実にちょうどいい広さ。特に後席は広すぎず狭すぎず、適度な包まれ感があり、広すぎる軽ハイトワゴンなどに比べると、なんとも言えない安心感があった。私は運転を家人にまかせて、アクアの後席でくつろぐのが大好きだった。

トランク容量も、見た目はやや頼りないのだが、入れてみると案外入った。なにしろ折り畳み自転車を3台積んで3人で出かけることも可能だったのだ。その時の車内は本当にパンパンだったが、その状態で後席に乗ると、快適な「お籠り感」を満喫できた。

新型アクアは先代よりもトランク容量が増加し、開口部も広くなって、ぐっと使いやすくなっている。ヤリスとアクアは、サイズを見るとわずかの差しかないが、居住性にはかなりの差がある。

ちなみにオリックスのカーリースの場合、いまのりくん(5年契約)で比較すると、ヤリス(2WD 5ドア HYBRID G )が月々4万3010円で、アクア(2WD 5ドア HYBRID G)が月々4万810円。車両本体価格はヤリスが213万円で、アクアはそれより10万円高い223万円なのだが、アクアのほうが5年後の残存価値評価が高いのか、若干お安くなっている。ちなみにこの2台、ハイブリッドシステムはまったく同じである。

ヤリスは2人乗り+αのスポーツカーのようなもの。一方のアクアは4人乗りのファミリーカー。カーマニア的にはヤリスのほうが面白いのだが、「買って間違いない」のは、一般的にはアクアのほうなのだ。

執筆者
MJブロンディ(清水草一)

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で道路交通ジャーナリストとして活動。
  • <記事掲載日>2021年11月12日
  • <更新日>2021年11月12日

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