中古車の「走行距離」をどう考えるか?
中古車を買うときは、走行距離0km(実際は数kmですが)である新車を買う場合と違って「走行距離の多寡」が気になるポイントとなります。
世の中には走行100kmにも満たない中古車から、走行20万kmをはるかに超える中古車まで、いろいろなモノが流通しています。そんななかで私たちは「中古車の走行距離」についてどう考え、どのぐらいの距離を走った中古車を選ぶべきなのでしょうか?
以下、問題を整理しながら考えてみましょう。
「標準的」とされている走行距離は年間8000km
まず車の走行距離というのは1台ごとに千差万別なわけですが、基本的には「年間8000kmぐらいが平均である」と考えられています。
東京など大都市の会社員家庭ではこれよりも少ない場合もあると思いますし(年間5000kmぐらいの人が多いようです)、通勤や日々の買い物に必ず車を使う地方では、年間1万kmを大きく超えるケースも多いでしょう。しかし、自動車業界では「とにかく年間8000km(ぐらい)というのが、車の標準的な使われ方である」と規定されています。
そのため中古車を選ぶ場合は「経過年数×8000km」という掛け算を、まずは行ってみてください。例えば5年落ちの物件であれば「5年×8000km=4万km」となりますので、「5年落ち中古車の標準的とされる走行距離は4万km前後である」ということがわかります。
まずは「年数×8000km」をひとつの基準点にしてみる
もちろんその数字(この場合は4万km)から若干離れていても何ら問題はないのですが、多い方向へ大幅に離れているものは「過走行車」という扱いになり、中古車価格は安めに設定されます。またそのコンディションも――本当は一概にはいえないのですが――標準的な走行距離の個体よりも劣っている可能性が高いと考えられます。
逆に、その掛け算の数字(この場合は4万km)よりも少ない方向に大きく離れている中古車は「低走行車」という扱いになり、各部のコンディションは良好な可能性が高いと考えられます。しかしその分だけ、標準的な走行距離の個体よりも高めの売価に設定されることが多くなります。
そういった基本原則のなかで「ちょうどいい中古車=コンディションが良くて、それでいてまあまあ安い中古車」を探したい場合は、やはり「標準的な走行距離である」ということをひとつの目安とするのが、まずは基本戦略となります。
つまり3年落ちの中古車であれば2.4万km、5年落ちなら4万kmを「基準点」として、そこから±1万kmぐらいのレンジに収まる中古車を探すようにすれば、大ハズシをするリスクは低下するでしょう。
新車から3年/3万km以内の中古車なら特に難しく考える必要はない?
とはいえ、中古車の走行距離と品質の関係は「その距離は年式から見て標準的かどうか?」だけで判断することはできません。「走行距離とメンテナンス履歴の関係」も、同時に確認する必要があるのです。
最近の車は、新車時から3年/3万kmぐらいまでの間は――もちろん例外はありますが――ろくに整備をしないでも、何ら問題なく動く場合がほとんどです。そのため、走行3万kmぐらいまでの中古車は、あまり難しいことは考えずに「内外装がキレイかどうか?」というシンプルな軸だけで選んでも、特に問題はない場合がほとんどです。
最初の節目である「5万km」付近の中古車は整備履歴を慎重にチェックする
しかし車というのは「走行5万kmぐらい」になると、最初に付いていたタイヤやブレーキパッドは劣化しますし、バッテリーも弱ってきます。もちろん、それらは「必ず5万kmで劣化する」というわけではなく、7万kmぐらいまでは普通に使える場合もあります。しかしいずれにせよ、車というのは走行5万kmから7万kmぐらいの時点で「最初の節目」を迎えるのです。
そんな最初の節目(走行5万~7万kmぐらい)に到達している中古車を購入する場合は、内外装の美観だけでなく「整備履歴」を確認することが、かなり重要となります。
つまり、いくら内外装がキレイな個体を比較的安価に買えたとしても、タイヤやブレーキなどの交換が先送りされてきた個体だと、結局は前オーナーに代わってあなたが、それらの部品を交換しなければならないのです。そうなると、いくら安く買ったところでまったく意味がないことは、いうまでもありません。
最大の節目である「10万km」を迎えた車は“リセット”の必要がある
そして5万~7万kmという最初の節目を越えた後も、車というのは「走行10万km」で第2の節目を迎えます。
昔は多くの人が「車の寿命は約10万km」と思い込んでいましたが、実際はそんなこともなく、車の基本骨格やエンジンというのは走行10万km程度でへこたれるものではありません。
しかし、やはり10万kmぐらい走ると「ショックアブソーバー」や「ブッシュ」といった足回りの重要部品は、要交換となる場合が多いものです。そのほかエンジンを支えている「エンジンマウント」や燃料を供給する「フューエルポンプ」、エンジンを冷却する「ラジエター」や「ウォーターポンプ」等々々々も、おおむね10万km前後で――必ずではありませんが多くの場合、要交換時期を迎えます。
つまり、ボディやエンジン本体といった車の基幹部分は走行10万km程度ではへこたれないのですが、それらを周辺で支えている細かな部品が、おおむね10万kmという節目でヘタってしまうのです。
そして、おおむね10万kmを目安にヘタってくるカタカナの部品はどれもけっこう高額で、それらの交換にはけっこうなコストがかかります。そのため、走行10万kmを超えた中古車の価格は一気に安くなるのです。
逆にいえば、第2の節目=走行10万kmを前にさまざまな重要部品が交換された中古車、つまり「ゼロリセットされた10万km超の中古車」は、意外と狙い目な選択肢でもあります。ビギナーにはおすすめしませんが、整備記録簿の内容をしっかり読むことができるユーザーであれば、その実力以上に安く販売されている「リセット済み10万km超中古車」を探してみると、いわゆる掘り出しモノが見つかるかもしれません。
中古車のカーリースを利用すれば「走行距離」を気にする必要はなくなる?
以上のとおり、中古車の走行距離というのは「少ない=◎、多い=×」という基本的な傾向はあるのですが、それはあくまで「基本的な傾向」に過ぎず、実際には「一概にはいえない」というのが正確な答えになります。
しかしながら、中古車を購入するのではなく「オリックス自動車の中古車リースを利用する」ということにして、なおかつ「高年式・低走行プラン」を利用すれば、中古車には不慣れなビギナーであっても、ごく普通にシンプルに、不安の少ない中古車ライフが送れることでしょう。
また車というのは走行5万kmや10万kmといった“節目”を越えるとリセール価格も一気に安くなるため、せっかく購入した車を「あまり距離が延びないように……」とばかりに、ちびちび心配しながら使っている人もいるかもしれません。
しかしオリックス自動車の中古車リースであれば、契約終了時に車をもらうことができます(※)。そのため期間中の走行距離をいちいち細かく気にすることなく、のびのびと自由な気持ちで運転できるのです。
※車をもらえるプランは、個人向けの「ワンプライス中古車リースMyCar」に限ります。
新車のリースはもはや一般的な選択肢になってきました。中古車においてもそろそろ、「購入ではなくリースで手に入れる」という選択肢を、ぜひ検討してみてください。
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執筆者
伊達軍曹 - 外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
- <公開日>2022年4月11日
- <更新日>2022年4月11日