「日産セレナ」進化したe-POWERでミニバン激戦区に挑む【話題のニューモデル】

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ファミリー層に人気のミニバン「日産 セレナ」が2022年11月、いよいよ6代目へとフルモデルチェンジされました。

ここでは、しゃれたデザインと「第2世代e-POWER」が話題を呼んでいる新型日産 セレナの概要と特徴を、なるべくわかりやすくご紹介いたします。

従来型以上に上質でモダンなデザインに大変身

1991年に登場した初代から数えて6代目にあたる新型セレナは、「BIG」「EASY」「FUN」という初代から受け継がれるコンセプトに「CONNECT」というキーワードも加え、「家族との大切な時間を楽しむことができるミニバン」としてのさらなる進化を目指して開発されました。

エクステリアデザインは従来型同様の親しみやすさを感じさせつつも、より上質でモダンなニュアンスに変身。具体的には、縦に配置したLEDプロジェクターヘッドランプの位置によってさりげなく「Vモーション」を表現しています。そしていわゆるフロントグリルは昨今のトレンドにしたがって従来型より大きくなっていますが、下品なニュアンスは皆無。なんと言いますか「上質な風格」「都会的な雰囲気」のようなものだけを感じさせるフロントマスクに仕上がっています。

ボディサイズは全長4690mm×全幅1695mm×全高1870mmという、いわゆる5ナンバーサイズが基本となりますが、スポーティなフォルムの「ハイウェイスターV」と、今回初設定された最上級グレード「LUXION(ルキシオン)」は全長4675mm×全幅1715mmの3ナンバーサイズになっています。

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ニッサン セレナ

ひざ元スペースの広さはクラスナンバーワン!

Mクラスミニバンでは最大級の広さを誇るキャビンは、運転席と助手席の間の移動がしやすくなったほか、120mmのシートスライド機構を3列目にも標準で装備。そして1列目から3列目までの各ニールームの広さはこのクラスでナンバーワンでしょう。身長175cmの人間が適切なドライビングポジションをセットし、そして3列目に成人が座っている場合であっても、2列目には同身長の人間が余裕をもって座ることができます。

3列目シートの後端からバックドアまでの荷室長はクラストップとなる342~462mmで、ゴルフバッグを縦に4個搭載できます。しかし3列目シートの収容方法がホンダ ステップワゴンのような床下収納式ではなく、トヨタ ノアなどと同じ「左右への跳ね上げ式」である点は、人によって評価が分かれるかもしれません。

また新型セレナには新開発された「ゼログラビティシート」というものも採用されていて、これは要するに「腰をしっかり支え、頭部の揺れも20%軽減させる」というものです。試乗時、劇的なまでの効果は感じませんでしたが、言われてみると確かに助手席でも2列目でも快適に座り続けることができたのは確かです。

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ニッサン セレナ

インテリアデザインはきわめてスタイリッシュ

新型セレナは運転席まわりのデザインもなかなか秀逸です。

現行型ノートから採用されたモノリス――7インチまたは12.3インチサイズのメーターパネルと、統合型インターフェイスディスプレイが組み合わされた横長のインストゥルメントパネルは、非常にスタイリッシュであるのみならず「前方視界の良さ」にも貢献しています。

写真のインテリアカラーは「グレージュ」。このほか「ブラック」も用意されている

シフトチェンジはこちらのパネル上にある4つのボタンで行う

また日産としては初採用となったスイッチタイプの電制シフトセレクターも、スッキリとした見た目と同時に「わかりやすい操作性」にも寄与しています。そしてXグレードの2WDモデル以外は全車、プラズマクラスター搭載フロントオートエアコン+リアオートエアコンが装備されるというのもちょっとうれしいポイントです。

シートの表皮はなかなか高級感のあるものですが、食べこぼしやゴミなどが隙間に入り込みにくく、飲み物などをこぼしてしまったときもふき取りやすいという機能性も追求されています。全席にスマートフォンなどを置ける小物入れがあり、500mlの紙パックが入るドリンクホルダーやUSB電源ソケットも、1列目から3列目までに用意されています。

e-POWERハイウェイスターVとハイウェイスターVに設定される撥水シート

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ニッサン セレナ e-POWER

プロパイロットは全車標準。最上位グレードはハンズオフ運転も可能

運転支援システムについては、日産自慢の「プロパイロット」を全車に標準装備。さらに最上位グレードである「e-POWERルキシオン」では、状況に応じて高速道路の同一車線内でステアリングから手を放すハンズオフ運転も可能な「プロパイロット2.0」が標準で装備されています。

そのほか、前方の障害物を回避する際にドライバーのステアリング操作を支援してくれる「衝突回避ステアリングアシスト」や、3ステップの操作だけで駐車完了まで自動制御でドライバーをアシストしてくれる「プロパイロットパーキング」も日産車として初搭載。前述の最上級グレード「e-POWERルキシオン」には、リモコン操作で車両の出し入れが可能になる「プロパイロットリモートパーキング」も搭載されています。

簡単操作で駐⾞完了するまでドライバーをアシストしてくれる「プロパイロット パーキング」をグレード別に設定

第2世代e-POWERは力感も静粛性も十分以上!

パワーユニットは、新開発された1.4L直3 e-POWER専用エンジンに駆動用モーターを組み合わせた「第2世代e-POWER」と、2L直4ガソリンエンジンの2種類が用意されています。

「第2世代e-POWER」は発電用エンジンのスペックが最高出力95psで、駆動用モーターが同163ps。このe-POWER専用1.4Lエンジンはきわめて静粛性が高く、なおかつ車体のほうの遮音にもかなりこだわり、さらには「ナビと連動してエンジン作動タイミングを制御し、放充電を先読みして自動的に制御する」という先進機能も備わっているため、走行中の新型セレナe-POWERはEV(電気自動車)にも近い静けさを感じさせる車です。

また第2世代e-POWERは動力性能も十分以上であり、重たいバッテリーが車体の下のほうにあることから“低重心感”もばっちりであるため、この箱型の車をなかなか気持ちよく走らせることが可能です。

最高出力150psの2L自然吸気エンジンにエクストロニックCVTを合わせるガソリン車のほうは、当然ながらe-POWERほどパワフルでも静かでもありません。しかし特に不足はなく、出力特性もガソリン車としてはリニアであるため(アクセルペダルを踏む量やタイミングにちゃんと連動して車が加速するため)、e-POWERモデルよりも車両価格が安いということと併せ、これはこれで悪くない選択肢です。

新型セレナのWLTCモード燃費は、e-POWER車が18.4~20.6km/Lで、ガソリンエンジン車が13.0~13.4km/L。ガソリン車の燃費はクラス標準といったところですが、e-POWER車の燃費はさすがになかなか優秀だといえるでしょう。

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ニッサン セレナ e-POWER

おすすめはやっぱり第2世代e-POWER搭載グレード

現在販売されている新型日産 セレナの車両価格は以下のとおりです。

【ガソリン車】
●X|276万8700円
●XV|308万8800円
●XV(防水シート車)|313万2800円
●ハイウェイスターV|326万9200円
●ハイウェイスターV(防水シート車)|331万3200円

【e-POWER】
●e-POWER X|319万8800円
●e-POWER XV|349万9100円
●e-POWER XV(防水シート車)|354万3100円
●e-POWER ハイウェイスターV|368万6100円
●e-POWER ハイウェイスターV(防水シート車)|373万100円
●e-POWER LUXION|479万8200円

上記はすべて2WD(FF)ですが、2023年春にはガソリン車の4WDモデルが登場すると日産から正式に発表されています。

現在販売されている新型日産セレナのおすすめはやはり「e-POWER」で、その中でも好バランスなグレードは「e-POWER XV」または「e-POWER ハイウェイスターV」であるといえます。

廉価な「e-POWER X」も決して悪くはないのですが、「ハンズフリーオートスライドドア」あたりの装備内容がやや弱いため、ここはせっかくですから予算をもう少し足して「e-POWER XV」または「e-POWER ハイウェイスターV」を選んだほうが、のちのちの満足度は向上するはずです。

また“全部盛り”である代わりにちょっとお高い「e-POWER LUXION」を選ぶかどうかは、人それぞれの価値観やおサイフ事情によって答えが変わるでしょう。

いずれにせよ新型日産 セレナは、「家族みんなが快適に楽しめるミニバン」というコンセプトが――特にe-POWERは――間違いなく実現されている5ナンバー級ミニバンです。さらに加えて「内外装デザインのセンスの良さ」という美点を持ち合わせている点も見逃せません。

激戦区ゆえにライバルが多いため、最終的に新型セレナを選択することになるかどうかは人それぞれでしょう。しかし、もしもこのクラスのミニバンを探しているのであれば、絶対に「検討すべき存在のひとつ」には入れておくべき一台です。

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ニッサン セレナ e-POWER XV

執筆者
伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
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  • <公開日>2023年1月31日
  • <更新日>2023年1月31日